映画、書評、ジャズなど

2021-01-01から1年間の記事一覧

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」★★★★

ダニエル・クレイグがボンドを演じる最後の作品とのことですが、ラスト・シーンがそれを象徴しています。 冒頭のシーンは、ノルウェーの雪深い場所の一軒家。幼いマドレーヌとその母親がいたところに、能面をかぶった男サフィンが襲いに来る。母親は殺害され…

濱嘉之「国境の銃弾」

警視庁公安部・片野坂彰 国境の銃弾 (文春文庫) 作者:濱 嘉之 文藝春秋 Amazon 濱嘉之氏の片野坂彰シリーズは最近はまっています。この作品は、片野坂シリーズの第一弾ですが、世界の政治情勢の独特な分析が登場人物の会話の随所に垣間見られ、とても刺激的…

「ドライブ・マイ・カー」★★★★

村上春樹氏の短編集「女のいない男たち」の中の『ドライブ・マイ・カー』と『シェエラザード』、『木野』の3つの短編のエッセンスが巧みに取り込まれた作品です。 3時間という長さの映画で、ストーリーも静かに淡々と進んでいくのですが、全く退屈すること…

「アフリカの女王」★★★★

アフリカの女王 [DVD] ハンフリー・ボガード Amazon 時は第一次大戦が始まる頃のアフリカ。英国人のローズ(キャサリン・ヘップバーン)は宣教師の兄とアフリカで布教活動をしていた。そこに、ドイツ軍の手が及び、村が破壊される。ローズの兄は失意の中で命…

オリンピック雑感

東京オリンピックが昨日終了しました。 コロナ禍という前代未聞の状況の中、最低限のオペレーションは無難に乗り切れたのではないかという意味では、関係者やボランティアの方々の尽力には敬意を表したいと思います。 本来であれば、東京オリンピックを観戦…

「武器よさらば」★★★☆

武器よさらば [DVD] ゲイリー・クーパー Amazon ヘミングウェイ原作のあまりに有名な作品です。今回鑑賞したのは1932年のフランク・ボーゼージ監督のバージョンです。 米国人でありながらイタリア軍に参加しているヘンリー(ゲイリー・クーパー)は、戦場で…

「女と男の観覧車」★★★★☆

女と男の観覧車 (字幕版) ケイト・ウィンスレット/ジャスティン・ティンバーレイク/ジュノー・テンプル/ジム・ベルーシ Amazon コニーアイランドを舞台にした恋愛コメディです。恋愛に翻弄されながら挫折や失敗を繰り返しつつ生きている人間模様をコミカ…

濱嘉之「紅旗の陰謀」

警視庁公安部・片野坂彰 紅旗の陰謀 (文春文庫) 作者:濱 嘉之 発売日: 2021/01/04 メディア: Kindle版 著者の本は初めて読んだのですが、国際情勢についてとても奥深い洞察が随所でなされ、それが壮大な結末につながっている、とても面白い作品でした。 主人…

西山圭太「DXの思考法」

DXの思考法 日本経済復活への最強戦略 (文春e-book) 作者:西山圭太,冨山和彦・解説 発売日: 2021/03/31 メディア: Kindle版 久々に目から鱗な衝撃を受けた大変刺激的な本です。 DXの本質を「レイヤー構造」というキーワードから読み取る分析と言ってもよい…

島田太郎・尾原和啓「スケールフリーネットワーク」

スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX 作者:島田 太郎,尾原 和啓 発売日: 2021/01/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) DX時代における日本企業のデータ活用戦略について、著者(島田氏)の所属する東芝の取組を中心に紹介されている…

夏野剛「誰がテレビを殺すのか」

誰がテレビを殺すのか (角川新書) 作者:夏野 剛 発売日: 2018/05/10 メディア: Kindle版 近年、ネット動画配信サービスが急拡大している中、テレビ局がこれからどのように生き抜いていくべきかについて述べている本で、大変興味深く刺激的な内容です。 著者…

「大いなる遺産」★★★★

大いなる遺産 [DVD] 発売日: 2019/01/08 メディア: DVD ディケンズのあまりに有名な小説がベースとなっていますが、これまで何度か映画化されてきているうちの、2012年に制作された作品を鑑賞しました。 田舎町で生まれ育ったピップは、姉夫婦に育てられ、将…

伊藤公一朗「データ分析の力 因果関係に迫る思考」

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書) 作者:伊藤 公一朗 発売日: 2017/04/18 メディア: 新書 日本でもビッグデータの重要性が唱えられて久しく、データ利活用の主導権を巡るグローバルな競争が益々激しくなっている印象ですが、他方で、データ…

辻惟雄「奇想の系譜」

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫) 作者:辻 惟雄 発売日: 2004/09/09 メディア: 文庫 江戸時代の前衛画家たちを「奇想」というキーワードで捉え、その意義を再評価した本です。元の本は1969年に刊行されたものですが、今読んでも全く色あせていませんし、むしろそ…

オードリー・タン「デジタル化とAIの未来を語る」

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る 作者:オードリー・タン 発売日: 2020/11/29 メディア: Kindle版 台湾でデジタル担当政務委員を務めるオードリー・タンのインタビューをまとめたものです。著者はIT業界で名をはせてきたことが知られていますが、…