これまで東野圭吾さんの作品で読んだことがあるのは、『容疑者Xの献身』のみでしたが、この『白夜行』も大変素晴らしい作品でした。
大阪の廃墟ビルで質屋の社長が死体となって見つかる。容疑者として疑われた主婦はその後ガス中毒で死亡し、事件は迷宮入りする。
小説は、この事件の被害者の息子の亮司と容疑者の娘の雪穂の成長に沿って進んでいく。この2人の接点は一見明らかではないが、2人の周りでは次々と奇怪な事件が起こる。
それを終始執念深く追っていたのが、最初の殺人事件を担当していた笹垣だった。笹垣は、最後に2人の接点を暴き出す。。。
最初の事件の背景に、被害者による少女買春があり、その犠牲者であった少女の人生が狂わされるというところに、この小説のなんとも言えない切ない読後感をもたらします。
文庫本で800頁を超える長編なのですが、途中中だるみすることは一切なく、著者のとてつもない筆力に圧倒されます。
これはこの著者にしか書けない作品だと思います。