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「BLUE GIANT」★★★★☆

今話題の映画の一つです。仙台でジャズミュージシャンを志す若者が状況して、成長していく過程を描いた作品です。

世界的なジャズピアニストの上原ひろみさんが音楽を担当しているだけあって、音楽のクオリティがとても高くできあがっています。

宮本大は、仙台でテナーサックスを弾く高校生。高校卒業後に上京し、友人の玉田の家に転がり込む。宮本は、あるジャズライブハウスのトイレで偶然出会った同い年のピアニストの沢辺と意気投合してバンドを組む。玉田も、宮本を見ているうちに、ドラムを始め、3人は『JASS』というバンドを組むことになる。

3人の目標は、日本で最高のジャズクラブ『So Blue』への出演だった。自らビラを配りながらバンドの活動を続けている中で、ジャズフェスへの参加が決まる。

沢辺は知り合いを辿って『So Blue』の責任者に『JASS』の演奏を聴いてもらうが、酷評されてしまう。それでも、活動を続ける中、偶然ある有名ジャズプレイヤーの来日公演でピアニストの穴が開き、沢辺が代打を務め、世に名が知られるように。

それがきっかけで、3人は『So Blue』への出演が決まるが、出演が目前に迫る中で悲劇が起こる。。。

この作品の良い点は、単にジャズミュージシャンを美化しているというわけではなく、今のジャズ界の問題点も含めてきちんと描かれている点です。今ジャズは決して若者に人気があるわけではなく、普段のライブは人が集まらず、集客に苦労しています。だから、3人が『So Blue』(これは『Blue Note』をイメージしていると思われる)に出演するミュージシャンとなっても、やはり普段はアルバイトをしながら生計を立てざるを得ないという現実もあるわけです。そうした面も含めて、この作品ではきちんと描かれているところは素晴らしいと思います。

一ジャズファンとしては、この作品をきっかけに、多くの人たちがジャズに耳を傾けてくれることを期待します。また、続編が楽しみです。