映画、書評、ジャズなど

「女と男の観覧車」★★★★☆

 

 コニーアイランドを舞台にした恋愛コメディです。恋愛に翻弄されながら挫折や失敗を繰り返しつつ生きている人間模様をコミカルに描いた作品です。いつもながら、ウディ・アレン監督のパンチのあるユーモアセンスがきいています。

 

元女優のジニーは、火遊びが好きな問題児の息子を持つシングルマザー。コニーアイランドのメリーゴーランドの管理をしているハンプティと再婚し、同じくコニーアイランドのウェイトレスをしながら暮らしている。

そこに、ハンプティの娘キャロライナが突如現れる。キャロライナは父親の反対を押し切りギャングの男と結婚していたのだが、追われるようにして逃げてきたのだった。

ジニーは、ビーチの監視員の男ミッキーと不倫関係にあった。2人の恋愛は順調だったのだが、キャロライナの出現によって揺れ動く。ミッキーがキャロライナに惚れてしまったのだ。

ある日、キャロライナの夫の手下の男たちがコニーアイランドにやってくる。男たちは、キャロライナとミッキーがデートする店を探し出し、店を出たキャロライナをさらってしまう。

ジニーは、男たちがその店に行くことを知っており、そのことを店にいるキャロライナに伝えようと店に電話したのだが、結局それを伝えなかった。そのことをミッキーが知り、ミッキーはジニーを激しく非難する。

ジニーのひとときの恋愛はこうして終焉を迎えたのだった。。。

 

ジニーの身勝手な不倫は、夫の娘の出現によってぶち壊しになったのですから、ジニーに同情すべき事情はないように思えるのですが、それでも、ジニーの置かれた境遇に鑑みると、ジニーに自ずと同情してしまっている自分がいます。

 

ウディ・アレン監督は、こういう人間のエゴをユーモラスに描くのが本当にうまいと思います。かといって、そうしたエゴを批判的に描くのではなく、むしろ人間の性として何か肯定的に描いているように思います。

 

期待を裏切らない作品でした。