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レイモンド・チャンドラー「ロング・グッバイ」

 

久々に読み直してみましたが、さすがによく練れているミステリーです。そして、何と言っても村上春樹氏の翻訳が読みやすく、グイグイと引き込まれていきます。

 

主人公のフィリップ・マーローは、ひょんなことからテリー・レノックスという酒癖の悪い男と知り合いになる。テリーの妻シルヴィアは、メディアを牛耳る富豪ハーラン・ポッターの娘で、華やかな男関係があったが、何者かに惨殺され、その直後にテリーは逃亡する。マーローもテリーの逃亡を手助けする格好となり、一時は嫌疑をかけられる。

その後、小説家ロジャー・ウェイドの妻アイリーンがマーローに対し夫の監視を依頼する。ウェイドは不安定だったが、やがてウェイドは自宅で銃により死亡。

マーローは、テリーの過去を探り、真相を明らかにしていく。。。

 

最後はあっといわせるどんでん返しが待ち受けています。

 

あとがきで、村上春樹氏は、この作品は『グレート・ギャツビー』を下書きにしているのではないかという仮説を提唱しています。確かに、テリー・レノックスという人物は、ギャツビーを彷彿とさせる刹那的で魅力的な人物ですし、主人公のマーローも、ニック・キャラウェーに似ていますし、現にチャンドラーは、フィッツジェラルドの作品を愛好していたようです。この村上春樹氏の推論には賛同します。

 

それにしても、私立探偵マーローという孤高で芯の強い主人公は本当に魅力的です。その中でも、この作品は最高傑作と言っても過言ではないでしょう。

 

とにかく素晴らしい作品です。