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真山仁「コラプティオ」

国民に人気のある宮藤総理と、それを支える秘書官の白石、そして宮藤を巡る特ダネ記事を狙う新聞記者の神林を中心とした政治ドラマです。

大震災後に一旦は後退した原発政策だったが、宮藤はその立て直しを画策する。その重責を託されたのが、秘書官に任命された白石だった。宮藤は、原発産業の再編に向けて、重電企業を国有化する。さらに、原発を海外に輸出するため、アフリカのウラン権益の確保を目指したが、そのやり方は法外なものであり、クーデタを誘発させるものであった。

新聞記者の神林は、宮藤のネタを掴むことで、政権の転覆を狙う。他方、白石も、宮藤のきな臭い政治手法に疑問を抱くようになる。

白石らは宮藤に辞任を迫る。。。

 

国益の名のもとに暴走する政権と、それに正義感から抗う秘書官という構図は、なかなか興味深い構図です。熱血な総理が、国益を追求し、アフリカのウラン権益を巡りのめり込み過ぎて、クーデタを誘発させてしまうというストーリーも、説得力があります。

ただ、物語の設定が壮大な割には、最後のオチがやや小さく終わってしまい、すっきりしないままとなってしまったところは、やや残念な点ではありました。最後、もう少しはっきりした終わり方もできたのではないかという気もしました。