久々に、東京都庭園美術館に足を運びました。
ちょうど、クリスチャン・ボルタンスキー展が開催されていました。
ボルタンスキーといえば、4年ほど前に豊島に展示されている「心臓音のアーカイブ」を見たことがあり、その異次元に迷い込んだ感覚が強烈に印象として残っていました。2006年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞されています。
今回の展覧会では、出展作品自体は割とこじんまりとしていたのですが、ボルタンスキーらしい展示でした。
これは《眼差し》という布に写真をプリントした作品と、《帰郷》という金色の塊の作品。《眼差し》は、ギリシア人を被写体とする写真を使っているとのこと。《帰郷》は、衣類を山にして重傷者を包むのに使われる金色の覆いをかけたものだそうです。
《アニミタス》は、チリのアタカマ砂漠で撮影されたもの。標高2千メートルを超える高地にあるこの砂漠で、ボルタンスキーは数百の風鈴を設置しています。この風鈴たちはいずれは消滅することを前提に設置されています。
《ささやきの森》は、豊島で撮影されたもの。《アニミタス》に比べると生命感が感じられる映像となっています。
以下、ボルタンスキー自らが作品を解説しているので、参考になります。
それにしても、晴れた平日の昼間の庭園美術館はとても穏やかで、心が落ち着く空間です。
とても都心のど真ん中にある空間とは思えません。
こうした都心の空間は大体が江戸時代の大名屋敷か明治の宮家の邸宅だった場合が多いですが、この庭園美術館は朝香宮家の邸宅として用いられたものです。
こういう空間は是非今後とも末永く引き継がれていってほしいものです。