映画、書評、ジャズなど

アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」

 

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

アガサ・クリスティのデビュー作です。既にエルキュール・ポアロのキャラクターがしっかりと出来上がっているところが驚きです。当初はいくつかの出版社から原稿を送り返されたとのことですが、デビュー作にして、アガサ・クリスティらしさが出ています。

 

物語の舞台はスタイルズ荘という屋敷。女主人エミリー・イングルソープの下に最近になってアルフレッド・イングルソープが再婚の夫としてやってきた。屋敷にはエミリーの義理の息子であるジョンとその妻、ジョンの弟、エミリーの友人や旧友の娘などが滞在していた。そんな中で、エミリーが殺害されるという事件が起こる。そこにポアロがやってきて、謎を解き明かす。

 

どう見ても怪しいのは、アルフレッド・イングルソープに決まっています。財産目当てにエミリーと結婚したという魂胆は見え見えです。

しかし、当初逮捕されたのはジョンだった。ジョンは裁判にかけられるのだが、ポアロは誰を真犯人と思っているか、依然として明らかにしない。

結局、真犯人はアルフレッド・イングルソープだった。。。

 

紆余曲折あって、一番疑わしい人物が真犯人というある意味意外な展開は、アガサ・クリスティらしいといえばらしいのかもしれませんが、後の名作群に比べれば、やはりまだ未熟さが感じられるような気もします。でも、デビュー作において既に天才の片鱗は十分に感じられます。