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ドン・ベントレー「シリア・サンクション」

2020年に刊行されたミステリーで、著者は本作がデビュー作だそうです。

アメリカ大統領選の直前、CIAが大統領の許可なくシリアの化学兵器研究所を襲撃したが、失敗に終わり、作戦チームの1人がテロリストに捕らわれた。国防情報局の元作戦要員のマット・ドレイクが、その救出に向かう。ドレイクは、かつてシリアで自分のパートナーを死なせてしまった罪悪感から一線を退いていたが、無理矢理前線に戻されてしまった格好だ。

他方、ホワイトハウスでは、大統領選前にこの件が表沙汰になることを嫌う大統領補佐官は、捕らわれの身の要員を見殺しにすることを大統領に進言する。

仲間の救出を優先するか、大統領選への悪影響を考慮して仲間を見殺しにするか、その狭間で判断に揺れる大統領と、現場で仲間の決死の救出を試みるドレイクの運命やいかに。。。

 

ドレイクが救出を試みる描写がやや冗長的な気がしますし、プロットもやや単純な感が否めず、シリアの複雑な内情がもう少しストーリーの核心に置かれてもよかったのではないか、という気もしますが、デビュー作品ということで、著者の今後の作品では、もう少し巧妙なストーリーとなることを期待したいと思います。