フェリーニ・ワールド全開の作品です。自伝的要素が強い作品とされていますが、主人公が若き頃にジャーナリストとしてローマを訪れ、その30年後に映画監督として再びローマを再訪するという設定になっています。
主人公が最初にローマを訪れたのは、ムッソリーニの支配下で戦争が繰り広げられていた時代。それから30年後に映画監督として再びローマを訪れるが、若者たちは社会に不満を抱いている。居候先の下宿には、肥満の老女たちが堕落した生活を送っている。
シーンが次々と変っていき、地下鉄の工事現場では、少し掘るたびに遺跡にぶつかり、なかなか工事が進まない。
それから、主人公は娼館へ。低級の娼館と高級の娼館のそれぞれの様子が描かれる。
そして、教会の中で繰り広げられるファッション・ショーのシーン。枢機卿がショーを見ながら、次の僧衣が決まるという。
ノアントリ祭では大勢の人々がボクシングの試合に熱狂している。
そして、最後は若者たちがバイクに乗ってローマの街を疾走するシーンで終わる。。。
脈絡のないシーンが連続するのは、いかにもフェリーニらしい作品です。
作品中、アメリカ人の作家がローマについて述べているセリフが印象的です。
「ローマに住んでる理由を聞きたいんだろ?まず第一に、ローマ人の無干渉主義が大好きなんだ。それにローマは幻想の都だ。教会や政府、映画すべてが幻想を生み出す。我々も幻想の作り手だ。世界が人口過密で終焉に向かってる。何度も興亡をくり返したこの都市で崩壊を見届けたい。自滅する地球を眺めるには、ここが一番ふさわしい。」
この言葉にもしかするとフェリーニの思いが込められているのかもしれません。
独特の世界観と映像美はさすがフェリーニといった感じです。