ローマ教皇が死亡し、コンクラーベによって次の教皇が選出される運びとなったが、その裏には、壮大な陰謀が張り巡らされていたという話です。
主人公はイスラエルの諜報機関のトップのガブリエル・アロン。亡くなった教皇パウロ7世は、アロンにあるものを渡そうとしていたが、それは教皇の死後に行方不明になる。それは、聖書の歴史を変えるような重大な文書だった。
ユダヤ人が長年迫害を受けた背景に、「マタイによる福音書」における「その血の責任は、我々と子孫にある」という言葉にあった。この言葉によって、イエスの死の責任がユダヤ人に移ってしまう。教皇がアロンに託そうとしたのは、こうした歴史を否定する福音書だった。この事実が都合悪い勢力によって、教皇は暗殺されたのだった。
コンクラーベを巡っては、多額の金が動いていた。その裏にはヨーロッパを席巻しつつある極右勢力による秘密結社があった。彼らが次の教皇を巡って画策していたのだった。
こうした陰謀を、亡くなった教皇の秘書だったドナーティとアロンが暴いていく、というのが本書の内容です。
教会を舞台に聖書の記述にも関連する陰謀が壮大なスケールで説得的に描かれており、とても楽しめるミステリー作品でした。