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「CODA コーダ あいのうた」★★★★★

 

久々に純粋に涙腺をとことん刺激された作品です。

ストーリーは至ってシンプルですが、随所に観客の心を揺さぶる仕掛けが埋め込まれていて、最初から最後まで涙が流れっぱなしでした。

ある意味これこそ“The 映画”といえるかもしれません。

 

女子高生のルビーは漁師の家庭に生まれ、漁を手伝っている。ルビーの両親と兄は聾唖者であり、耳の聞こえるルビーはCODA(child of deaf adult)だった。

ルビーは高校の合唱部に入るが、人前で歌うことを恥ずかしく、最初の顔合わせでは逃げ出してしまう。しかし、合唱部の指導をしている教師はルビーの才能を見抜き、コンサートでマイルズとデュエットするよう指示する。

一方、ルビーは、家では家族の通訳として忙しく、家族もルビーにおんぶにだっこだった。ルビーはマイルズを家に呼んでデュエットの練習をしていたが、フランクな両親の行動を目撃してしまい、マイルズはそれを学校でその話を広めてしまい、ルビーとの関係を悪化させてしまう。マイルズはルビーに謝罪するが、家族のことを馬鹿にされたルビーの怒りはなかなか収まらない。

ルビーは家族の世話が忙しく、たびたび合唱部の先生のレッスンに遅れてしまい、先生から厳しく叱られる。そして、ルビーは、海岸の崖から海に飛び込むことを条件にマイルズを許す。そして、2人は恋に落ちる。

ルビーは先生からバークリー音楽院への進学を勧められるが、耳の聞こえない両親はルビーの才能を理解できず、進学に反対だった。しかし、保護者向けのコンサートで、ルビーとマイルズのデュエットの聴衆の反応を目の当たりにして、ルビーが本当に才能があることが分かる。

進学をあきらめかけていたルビーだったが、試験当日に家族が試験会場までルビーを送り届け、間一髪受験を認められる。そこには、バークリー音楽院の出身者であった合唱部の先生もいた。

家族もいる前で感動的な歌声を披露したルビーは無事試験に合格し、ボストンに旅立っていく。。。

 

 

両親が聾唖者の家族であるにもかかわらず、決して悲壮感は漂っておらず、ガサツな父親とあけっぴろげな母親は、人生を謳歌している感じで描かれており、それがこの作品に清々しい印象を与えています。

ルビーのキャラクターの描き方も本当に素晴らしく、家族の世話と合唱の練習を両立しながら、前向きに生きている姿が何とも心を打たれます。

そして、何と言ってもこの家族の団結の素晴らしさがとてもよく描かれています。

 

観ている間、とにかく清々しい涙を流しっぱなしでした。

 

映画館で多くの聴衆と一緒に鑑賞し、感動を共有したい、そんな作品でした。