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佐藤究「テスカトリポカ」

久々にすごいミステリーに出会った気分です。メキシコ、インドネシア、そして日本に及ぶ壮大な舞台に展開される臓器売買というプロットに圧倒されます。メキシコの麻薬密売人が抗争に敗れてインドネシアに逃れ、やがて日本でメキシコ人の母親を持つ青年と出会います。話の節々にアステカの神々しい描写が挟み込まれる全体の構成は、臓器売買という毒々しい犯罪のグロテスクさを効果的に描写しています。

 

中でもアステカの描写が素晴らしい。これを書くために著者も相当アステカの歴史を勉強されたのではないかと思います。

 

おそらく、最近の日本のミステリーの最高傑作のひとつと言ってもよいのではないかと思います。