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ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」

GWに読んだ小説です。ミステリーと呼んでいいのか迷うところですが、最後までぐいぐいと引き込まれる作品です。

 

カイアは湿地で暮らす家族の一番下の娘だったが、ある日、母親は家を出ていく。残された父親と兄弟がいたが、父親の暴力に耐えかね、カイア以外の兄弟は皆家を離れていき、やがて父親も家に姿を見せなくなる。

そんなカイアに優しく勉強を教えてくれたのが少し年上のテイトだった。テイトは学校イン通わないカイアに読み書きを教えると、カイアは湿地の生物を自ら学んでいく。やがてテイトは離れた学校に通うようになり、カイアに会いにこなくなる。そこに現れたのがチェイスというふしだらな青年だった。そのチェイスが櫓から落下して死体となって発見されたのだった。

カイアとチェイスは一時期仲睦まじい関係だった。しかし、チェイスはカイアを裏切り、別の女性と結婚し、カイアは失意のどん底に突き落とされたのだった。

チェイスの死に対してカイアに疑惑がかけられた。そしてカイアは捕らえられ裁判にかけられる。。。

 

カイアは実は詩人でもあり、最後は詩によって真相が浮き彫りになります。その辺の演出はうまくできています。そして、「湿地の少女」と呼ばれたカイアに対する激しい差別もある意味米国社会を象徴しているように思います。

 

湿地を舞台に美しい情景が目に浮かぶような描写がとても心に残る作品でした。