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「バグダッド・カフェ」★★★★

 

1987年の西ドイツの作品です。バグダッドといっても、場所はアメリカのラスベガス近郊のハイウェイ沿いのモーテル兼カフェの名前です。

 

ドイツから夫と共に旅行に訪れていたジャスミンは、ハイウェイを車で移動中に夫と喧嘩し、大きな荷物を持ってとぼとぼと歩くことに。たどり着いたのが「バグダッド・カフェ」だった。

切り盛りするのは、女主人のブレンダ。ブレンダもちょうど夫と喧嘩して、夫が家を飛び出したばかり。そこには赤ん坊をほったらかしてピアノを弾いている青年、絵描きのルーディら奇妙な面々が滞在していた。

そこに滞在したいというジャスミンに対し、ブレンダは当初怪しみと疑念を抱く。一人で切り盛りするブレンダを気遣って、勝手に店を片づけたりしてブレンダは憤るのだが、やがてジャスミンを理解し、心が通じ合っていく。

ジャスミンは手品を習得し、カフェで披露するようになると、カフェには次第に多くの客が足を運ぶようになり、活気づく。

しかし、ジャスミンは滞在許可が切れており、やむなく帰国することに。ブレンダたちは悲しみに包まれ、カフェはもとの閑散とした店に逆戻りした。

そこに、再びジャスミンが戻ってくる。そして、カフェは再び活気に満ち溢れる。ジャスミンとブレンダは一緒にカフェのショーに出演し、客は大盛り上がり。

ジャスミンは、ブレンダからプロポーズを受ける。ジャスミンは、ブレンダに聞いてみると答えた。。。

 

とにかく、不思議な雰囲気の作品です。所々にギャグやユーモアが織り込まれ、コメディ的な要素がありつつも、この作品の雰囲気を醸成しているのは、何と言ってもテーマ曲の♪Calling Youです。


BAGDAD CAFE - I'm Calling You

ジェヴェッタ・スティールのけだるい声がこの作品を何とも言えない不思議な空気で包んでいます。

この曲は、ホリー・コールのバージョンも有名ですね。


Holly Cole - Calling You

 

この作品の魅力として忘れられないのは、主人公のジャスミンです。寡黙なので、最初は誤解を受けますが、他人を思いやるやさしい気持ちに満ち溢れ、次第に周りを惹きつけていくタイプです。中年で容姿も決して美しいわけではありませんが、とてもチャーミングなキャラクターです。だから、最後、彼女がプロポーズを受ける場面では、観ている人は皆その幸せに共感を抱くのでしょう。

 

決してお金をかけている作品ではありませんが、映画っていいなぁ~と思わせてくれる、そんな作品です。