- アーティスト: STAN GETZ / JOAO GILBERTO
- 出版社/メーカー: Polygram Records
- 発売日: 1997/05/20
- メディア: CD
- 購入: 2人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
このアルバムは、当時、ウェスト・コーストのクール・ジャズ派として既に知られていたスタン・ゲッツと、ボサノヴァで認められつつあったジョアン・ジルベルトの2人を、アントニオ・カルロス・ジョビンが媒介となって結びつけることによって生まれたものです。実は、ゲッツとジョアンはレコーディング中、仲が悪く、ゲッツが録音後に自分のテナー・サックスの演奏を不自然なほど前面に聞こえるように施したといったエピソードもあるようです。
そして、このアルバムの最大のエピソードは、ヴォーカリストとして参加しているジョアンの妻アストラッド・ジルベルトがレコーディング当日に急遽起用されたというものです。当時無名でデビューの機会をうかがっていたアストラッドは、レコーディング当日に自分も歌わせてくれと言い張り、起用が実現したようですが、この起用が大当たりで、以後アストラッドはその後大活躍していくことになります。
このアルバムの目玉曲は何と言っても「Girl from Ipanema」(=イパネマの娘)です。リオのイパネマ海岸にある酒場でいつも出会う美しい娘をテーマにした曲なのだそうですが、ビブラートせずに耳元で囁くような声で歌うアストラッドの声は、高揚した気持ちをもクール・ダウンさせる効能があります。その他の曲も同様に、我々の疲れた心を癒してくれるものばかりです。
ジャズという音楽は、非常に幅広いジャンルの音楽と融合して、稀にこうした“奇跡”的な作品を生み出すことがあります。だから、ジャズには病みつきにさせられます。