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映画、書評、ジャズなど

「ジャズ大名」★★★★

ジャズ大名 [DVD]

ジャズ大名 [DVD]

 幕末日本の駿河のとある藩に黒人3人組がたどり着き、演奏するジャズによって大名たちを虜にしていくというアホらしい設定が独特の空気を作り出しています。

 原作は筒井康隆氏。監督は岡本喜八氏です。筒井氏は自らもクラリネットを演奏するアマチュア・ミュージシャンで、ジャズに関する小説も書いています。

ジャズ小説 (文春文庫)

ジャズ小説 (文春文庫)

 内容はいたってシンプルで、アフリカに帰れると思って騙されて日本に連れてこられた黒人3人組がとある藩に捕らえられ、城内にかくまわれたものの、持っていた楽器でジャズを演奏するうちに、城内の家臣たちを虜にしていき、幕末の激動期であるにもかかわらず、藩主以下皆でジャズに明け暮れてしまい、あげくには民衆もええじゃないかを唱えながら乱入してくるという話です。最後の方では、タモリ山下洋輔までもが登場する始末。

 あまりにアホらしい設定ではありますが、ジャズのリズムが世界中で文化の壁を越えて受け容れられる素地を持っているという点をうまく表現しているようにも思えます。音楽があれば言葉があまり通じなくても心が通じ合うわけで、互いに言葉が通じないジャズ・ミュージシャン同士であっても、ジャズの最低限のルールさえ抑えておけば、いきなりのジャムセッションで意気のあったプレイをすることができるわけです。

 よほどのジャズ好きでなければ、こういう作品を書いたり作ったりすることはできないでしょう。かつては、ジャズを聴くことが知的エリートたちの一つの教養であった時代がありましたが、そういう時代の名残を色濃く反映している作品です。

 ジャズファンとしては無条件に嬉しい気持ちになる作品です。