- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/09/24
- メディア: DVD
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サリーナ公爵家はシチリア島の名門貴族であったが、19世紀半ばのイタリア統一戦争の渦に巻き込まれる。
サリーナ公爵の甥のタンクレディは、こうした時代の変化の中で、積極的に統一戦争に参加し、統一国家の国軍の将校となった。サリーナ公爵は、タンクレディのような若者がこれからの時代に必要だと考える。そして、自分の娘がタンクレディに気があったにもかかわらず、周囲の反対を押し切ってタンクレディと新興ブルジョワの娘アンジェリカとの結婚を積極的に後押しする。
アンジェリカがデビューする舞踏会の会場で、サリーナ公爵は貴族たちが享楽に耽る光景を見て脱力感にかられる。自らの死を意識し、貴族階級が衰退し、新しい階級にとって代わられていくのを実感したのだった。アンジェリカの誘いに応じてサリーナ公爵は華麗にダンスを踊ったが、それがサリーナ公爵にとって一時代の区切りとなった。。。
この作品の魅力は、何と言っても、荘厳な舞踏会の場面でしょう。当時の貴族社会の華やかさが細部に至るまで再現されています。
その華麗さの裏にはもちろん衰退していく悲哀感が濃厚に漂っています。貴族たちがダンスではしゃぐ場面には、美しさとともに、とても深い哀しみが漂っています。
優雅さが衰退するときが一番美しい、というのが、この作品からしみじみと伝わってきます。日本でいえば『細雪』や『斜陽』といったところでしょうか。
完全版で見られたことは大変貴重な経験でしたが、もう少し短い方が観る側にとってはフレンドリーな感じがしました。