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「インテリア」★★★★

 

ウディ・アレン監督の1978年の作品です。

コメディ作品が売りのウディ・アレン監督ですが、この作品には一切コメディの要素はなく、初老の夫婦の離婚をきっかけに家族が崩壊していく過程をひたすらシリアスに描いた作品となっています。ウディ・アレン監督も一切出演していません。

 

実業家の夫とインテリア・デザイナーの妻イブは、3人の娘を育ててきたが、子供たちがそれぞれ独立した時期、夫は妻に別居を提案する。イブは自ら家を出ていく。

イブはメンタルの病を患う。3人の娘たちは母親のイブの扱いを巡って動揺する。

しかも、追い打ちをかけるように、夫は新しい恋人と結婚したいと言い出す。夫と新しい妻との結婚式が執り行われ、3人の娘たちも参加する。

その後、これまで住んでいた家で、新しい夫婦と3人の娘たちはパーティーをしていた。そこに、イブが窓越しに現れる。イブはそのまま海岸に向かって行き、海の中へと消えていった。。。

 

 

以下が、ラストのシーンです。


Interiors (Woody Allen, 1978) - Final - Ending [sub. español]

 

この作品は、ウディ・アレン監督のベルイマン監督に対するオマージュのようです。確かに、陰鬱な雰囲気はベルイマン監督の作品以上かもしれません。

 

ただ、やっぱりウディ・アレン監督は、こういうシリアスな作品には向いていないように思います。ラストの場面もそうですが、イブにとっては、何ら希望が見いだせないまま、死に向かって行ってしまうわけです。このイブの死が、何か希望につながっているのであればよいのですが、この作品では、そういう感じはしません。

 

陽気な作品ばかり制作してきたウディ・アレン監督がこんな作品を作るのは、余程の覚悟があったのかもしれませんが、正直に言えば、私はウディ・アレン監督には、もっと陽気なパンチの効いたコメディ作品を作ってもらいたいと思います。