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「マーニー」★★★★

 ヒッチコックのサイコ的作品です。

 マーニーはあちこちで職に就いてはお金を盗み出して姿をくらましていたが、あるとき、マーク(ショーン・コネリー)が社長を務める会社の求人に応募してきた。マークは、取引先でこの女がお金を盗んだことを偶然知っていたが、あえてマーニーを採用した。マークは女性としてのマーニーに加え精神分析の観点から興味を抱いたのだった。

 マーニーは案の定、会社の金庫からお金を盗み出したが、それをあらかじめ悟っていたマークはマーニーを取り逃がさず、むしろ結婚を申し込んだのだった。

 マーニーは男性に対して異常な拒否感を抱いており、マークとの新婚生活はうまくいかなかった。それでも表面上は取り繕っていたが、あるとき、マーニーが過去にお金を盗んだ先の使用者がホームパーティーにやってきて、正体がばれてしまう。マーニーは取り乱して再びマークの会社の金庫からお金を盗み出そうとするが、マーニーに再び取り押さえられてしまう。

 実はマーニーには過去に記憶から消えているおぞましい経験があった。このため、たびたび赤色を見ると錯乱状態に陥ったり、男性を遠ざけるなどの行動に出ていた。マークはそれが何かを赤裸々にするため、マーニーを無理矢理母親のもとへ連れて行き、そのときの事故について話をするよう迫った。そこで明らかになったのは、かつてマーニーの母親は売春で生計をたてており、あるとき客が幼いマーニーに手をかけようとした際に揉み合いとなってその客を殺害してしまったのだった。その経験はマーニーの記憶から遠ざかっていたが、再び記憶を取り戻すことによって、マーニーは自分自身と再び向き合えるようになったのだった。。。

 さすがヒッチコックだけあって、カメラワークは相変わらず冴え渡っています。恐怖感をじわじわとあおるような演出は、一見しただけでヒッチコックの手法だと分かります。

 マークがなぜマーニーにここまで執着するのかというところでやや違和感を感じてしまう部分もあるのですが、大変楽しめるヒッチコック作品でした。