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映画、書評、ジャズなど

「タクシードライバー」★★★☆

 今年最初に鑑賞した作品です。一貫してけだるく退廃的な雰囲気の中で淡々と話が進んでいく作品です。

 トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は自ら志望して、タクシー・ドライバーの職に就く。大統領候補の選挙事務所で務める一人の女性ベッツィーに一目惚れしデートに誘うが、連れて行った映画に嫌悪した彼女に振られてしまう。

 トラヴィスは退廃した街に嫌悪し、銃を入手して体を鍛える。ある日、偶々立ち寄った店に押しかけた強盗を銃で撃ち殺してしまう。そして、次期大統領候補の集会で暗殺を試みたが、シークレット・サービスに見つかり断念する。

 そして、以前トラヴィスのタクシーに乗り込んで逃げようとした一人の売春婦と再会し、彼女を親元に帰そうとして、売春を仕切るギャングと闘う。トラヴィスは銃撃戦の末、自らも負傷したが、新聞では英雄として大きく取り上げられた。

 その後もタクシー・ドライバーを続け、乗客として乗ったベッツィーとも再会するが、トラヴィスは淡々とタクシー・ドライバーを続けていく。。。


 主役を務めるロバート・デ・ニーロの淡々とした鬼気迫る演技が光る作品ですが、売春婦の少女の役で登場するジョディー・フォスターにも注目です。

 また、作品を通じて流れるかったるい音楽が、作品の雰囲気を醸成しています。バーナード・ハーマンはこの作品が遺作となります。

 ジャジーなサックス演奏がとても素晴らしいです。

 この作品は、前回の記事で紹介した『暇と退屈の倫理学』を彷彿とさせました。

暇と退屈の倫理学

暇と退屈の倫理学

 元海兵隊員の主人公のトラヴィスは、不眠症の中で様々な正義感を抱き、銃を手にして世直しを実行します。退廃的な街の中で退屈を紛らわす一つの手段が正義感に訴えて行動に移すことだったわけですが、これは退屈を紛らわす手段としては大変危険なことです。

 比較的早い時期に成熟期を迎えたアメリカ社会において、普通の人々が日々の退屈を紛らわすことは容易なことではありません。タクシードライバーという職業自体に何か生き甲斐やスリル感を求めることにも限界があるでしょう。そういう中で、人々がどうやって退屈を紛らわしていくかということこそ、國分氏の追求したテーマだったように思います。

 この『タクシードライバー』という作品の中で、もちろんその答えが示されているわけではありませんが、退屈を紛らわすことの難しさが図らずも露呈されている作品のような気がしました。