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ところミュージアム@大三島

 しまなみ街道の途中の大三島に、こじんまりとした素敵なミュージアムがあります。

 所敦夫さんという横浜市在住の元会社経営者の方が建てられたミュージアムだそうです。

 瀬戸内海に面した斜面に建てられており、いくつかの現代美術の作品が展示されていますが、この美術館の最大の魅力は、美術館を降りきったところにあるちょっとしたテラスの空間です。

 瀬戸内海の海が一望でき、ちょっと離れたところには「花の灯台」と題する作品が建っています。

 穏やかな海に船が静かに行き交うシーンは、非日常性を醸し出しています。

 左手が西の方角となるのですが、夕方に行くと、夕日が沈んでいく光景が何とも幻想的です。

 このミュージアムのそばのみかん畑を下っていくと、小さな砂浜に出られますが、ここからの夕日も最高に素晴らしいです。

 現代人はもっと「夕方」という時間の重要性を認識してもよいのではないかと思います。「夕方」は、日常性に溢れた<昼>と、非日常性に包まれる<夜>を隔てる重要な時間です。昔の人たちは夕日を見ながら昼間の仕事からの解放を感じ、夜の非日常的な時間へと心を切り替えていったのだと思います。しかしながら、都会で働く現代人は夕方はオフィスにいる方が多く、夕日とはあまり縁のない生活をしているように思います。だから、日常と非日常の切り替えがうまくいっていないという面があるような気がします。

 静かな島から瀬戸内海の夕日を見ていると、普段の生活とはうってかわってスーッと心が洗われるような感覚に陥るのは、やはり私も典型的な現代人なのでしょうか。

 ちなみに、ところミュージアムのすぐ隣には、伊東豊雄建築ミュージアムの建設が着々と進んでいます。日本を代表する建築家である伊東豊雄氏のミュージアムがどんな素晴らしいものに仕上がるか、今から楽しみです。