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映画、書評、ジャズなど

「ザ・フライ」★★★☆

映画

 正月早々、今年初っぱなに見た映画が本作品というのは何とも不可解なのですが、蝿と遺伝子レベルで融合した男が刻々と蝿に変化していく様子をリアルな映像で表現した本作品は秀作です。

 テレポーテーションの研究をしているブランドル(ジェフ・ゴールドブラム)は、科学ジャーナリストのヴェロニカ(ジーナ・デイヴィス)を自分の研究室に招き、テレポーテーションの実演をする。テレポーテーションは成功するが、生物のテレポーテーションは未だ実現できていなかった。

 ブランドルの研究に興味を持ったヴェロニカは、次第にブランドルと恋愛関係になっていく。ある日ブランドルは、ヴェロニカに内緒で自らをテレポーテーションの実験台にする。実験は一見成功したように見えたが、ブランドルの背中には人間のものとは思えない剛毛が生え、性格も次第にどう猛化していく。その原因は、テレポーテーションをする際に、誤って蝿がカプセルに入り込んでしまい、ブランドルと蝿が遺伝子レベルで融合してしまったことにあった。

 ブランドルのSEXは野性的な激しさを伴うようになる。ブランドルの容姿も次第に蝿になっていく。口からは得体の知れない液体をはき出し、モノを融かしてしまう。

 そんな中、ヴェロニカはブランドルの子供を身ごもっていることを知る。堕胎の手術をしようとするヴェロニカをブランドルは連れ去っていく。ブランドルはヴェロニカと一緒にテレポーテーションすることによって、遺伝子を融合しようとするが、ヴェロニカは激しく抵抗する。

 ヴェロニカはブランドルを銃で撃ち殺す・・・。



 カフカの『変身』を彷彿とさせるモチーフですが、容姿や性格が徐々に変わっていく恐怖をうまく表現しています。急に蝿になるのではなくじわじわと変化していくという設定によって、絶望感が増しています。

 映像のあまりのリアルさに背筋が寒くなりますが、こういうあり得ない設定をリアルに表現することこそ、映画の持つ最大の強みであるとも言えます。

 ただ、最後にブランドルが無惨に撃ち殺されてしまい映画が終わるところは、後味の悪さが残り、あまり正月早々に見る映画ではないなぁとつくづく感じさせられました。