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映画、書評、ジャズなど

billie holiday + lester young「a musical romance」

ジャズ

Musical Romance

Musical Romance

 久々に名盤の紹介です。ビリー・ホリデイレスター・ヤングの共演ばかりを集めたこのアルバムは、息があった2人の演奏が存分に堪能できるアルバムです。2人のお互いに対する厚い信頼がじんじんと伝わってくるのです。

 私が初めてビリー・ホリデイの歌を耳にしたのは「レディ・イン・サテン」でしたが、そのあまりに憂鬱な雰囲気に耐えられず、ビリー・ホリデイの作品からは距離を置くことになります。聴く順番を完全に間違えていたのです。まずはこのアルバムから手に取るべきでした。

 レスター・ヤングと吹き込まれた数々の曲が収録されたこの作品は、本当に幸せな2人の様子が伝わってくるものばかりです。2人の間には愛情こそ芽生えなかったようですが、並々ならぬ固い友情が形成されていました。レスターはビリーのことを「レディ・デイ」と呼び、ビリーはレスターのことを「プレズ」(プレジデントの意味)と呼び合ったことは有名な話で、その後の2人の愛称として定着することになります。

 さて、アルバム中の曲ですが、初っぱなのガーシュインの名曲♪THE MAN I LOVEや♪WITHOUT YOUR LOVEなどももちろんよいのですが、やはり最高は♪WHEN YOU'RE SMILINGです。冒頭から早速始まるレスターのソロも最高ですし、その後に続くビリーの歌がとても切なさを内包した幸せを醸し出しています。

 この曲については、村上春樹氏がこんな素晴らしい評を書かれています。

彼女は歌う、
「あなたが微笑めば、世界そのものが微笑む」
When you are smilimg, the whole world smiles with you.
 そして世界は微笑む。信じてもらえないかもしれないけれど、ほんとうににっこりと微笑むのだ。

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)

 やはり、村上春樹氏のジャズ評は他の評論家たちとひと味もふた味も格上と思わざるを得ません。

 ビリー・ホリデイの作品を聴こうと思われる方には、まずこのアルバムから手に取ることをお勧めします。