- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
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映画はキリマンジャロの麓で足が壊死を始めて死期を間近に見つめている小説家ハリー(グレゴリー・ベック)が昔を回顧しながら進んでいく。そして、映画が進行するにつれて、なぜハリーが今キリマンジャロの麓にいるのかが次第に明らかになっていく。
ハリーはアメリカからパリに出てきて小説家を目指していた時、シンシア(エヴァ・ガードナー)と出会い、恋に落ちる。やがてハリーの小説が売れ出すと2人はアフリカに狩猟に訪れる。しかし、シンシアはパリで落ち着いた生活を送ることを望んでいた。そんなときにシンシアは懐妊するが、ハリーが子供を望んでいないことを知って故意に流産してしまう。その後2人はスペインに行き、闘牛を見たりフラメンコを鑑賞したりするが、シンシアは我慢の限界に達しており、フラメンコ・ダンサーとどこかへ逃亡してしまう。
ハリーはシンシアへの強い思いを抱いている中、リゾート地で伯爵令嬢と婚約するが、シンシアからの手紙を破り捨てられたことを契機に、婚約を破棄してシンシアの姿を追い求めた。
その後ハリーはスペインの内乱に参加し、そこで看護師として従軍して瀕死の重傷を負っていたシンシアと再会する。
やがてハリーは、かつてシンシアと間違えて広場で声をかけた相手のヘレンと偶然再会し、結婚する。そんなとき、ハリーの伯父が死ぬ間際に遺言を残す。そこには、キリマンジャロの山頂のすぐそばには、ひからびて凍り付いた豹の屍が横たわっているが、その豹が何を求めてそこに来たのかは誰も説明したことがないという意味深な文言が書かれていた。
その遺言を受けて、ハリーはヘレンとともに再びアフリカに向かったのだった。
ハリーは自分の過去を回顧しながら、死期が刻々と迫ってくることを感じる。来るはずの飛行機はなかなか到着せず、ハゲタカやハイエナが飛び交っている。もはや絶望的と思われたそのとき、ようやく救援の飛行機が到着する。そのとき、ハゲタカの姿は消えていた・・・。
この作品の原作はもちろんヘミングウェイですが、作品に登場する場面はそれぞれヘミングウェイの実際の体験に基づいているようです。例えば、アフリカで狩猟をし、そして病気にかかった経験。スペインで従軍したことはもちろん周知のとおりです。スペインで闘牛にも魅了されているようです。
そう考えると、この作品の主人公ハリーはヘミングウェイ自身を想像したものなのではないかと考えるのが素直です。
ヘミングウェイは周知のとおり、ライフルで自殺して命を落としています。晩年のヘミングウェイの心境は、もしかするとこの映画の主人公ハリーのように、自らの波乱に満ちた過去の記憶をたどりながら、様々な思いを交錯させていたのではないかと思わず考えさせられてしまいます。
何か重厚な後味が残るヘビーな作品でした。