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映画、書評、ジャズなど

「イージー・ライダー」★★★☆

イージー★ライダー [DVD]

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 アメリカ大陸をバイクで疾走する2人の男の話です。1969年製作の作品ですが、映画としての出来の良し悪しはともかくとして、ベトナム反戦運動やヒッピーを始めとする当時のアメリカ社会の「カウンター・カルチャー(対抗文化)」の様子が感じ取れるような作品です。デニス・ホッパーが監督と出演の二役をこなしています。

 キャプテン・アメリカピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)は、マリファナの密売をしながら、バイクに乗って2人で自由気ままにアメリカ大陸を旅している。途中出会ったジーザスというヒッピーの男の誘いで彼らのコミューンに滞在するが、2人は拒絶される。また、無許可でパレードに参加したことを咎められて留置場に入れられるが、そこで弁護士のジョージ(ジャック・ニコルソン)と意気投合し、一緒に謝肉祭の見物にニューオリンズに向かうが、夜野宿しているところを襲われ、ジョージは死んでしまう。キャプテン・アメリカとビリーは娼婦たちと連れだって墓地に向かう。

 バイクで走っていた2人は、途中、近づいてきた1台のトラックから放たれた銃弾によって次々と倒れていく・・・。


 この作品では、自由を求めて放浪する若者たちの姿と、それに対して激しい嫌悪を示す人々の姿が強烈に描かれています。夜たき火を囲みながら野宿をしながら語り合う場面では、彼らの自由を求める思想が披瀝されます。

 かつてチャールズ・ライクは『緑色革命』の中で、アメリカ人の意識をⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類して意識Ⅲの出現こそが、袋小路に陥ったアメリカ社会の出口であるという主張を展開しましたが、

緑色革命 (1971年)

緑色革命 (1971年)

キャプテン・アメリカとビリーの2人の行動様式こそが、意識Ⅲを象徴するようなものであったわけです。今ではチャールズ・ライクの考え方が取り上げられることはめったにありませんが、1960年代後半という時期においては、こうした若者たちの新しい生活態度こそが、閉塞感の漂う社会の突破口として期待されていたという面もあり、チャールズ・ライクの見解は大きな反響を呼んだわけです。それくらい、この時期のアメリカ社会(というよりも全ての先進国社会)は進むべき方向を見失っていたということが言えると思います。

 映画としては素晴らしくよく出来た作品というわけではありませんが、1960年代後半という時期のアメリカ社会の描写としては、大変優れた視点を提供するものであると思います。