東京都現代美術館で開催されているオスカー・ニーマイヤー展を見てきました。
ニーマイヤーといえば、ブラジリアの数々の建造物を設計したことで知られており、このブラジリアは1987年に世界遺産に登録されています。
ブラジリアという都市は、ブラジル高地の広大な砂漠のような土地に大規模かつ計画的に建設された都市ですが、1956年に大統領に当選したジュセリーノ・クビチェックが、莫大な国家予算を投じて急ピッチで建設を進め、1960年には供用が開始されるという何とも信じがたい都市です。
私はブラジリアを訪れたことはないのですが、今回の展覧会を見て、ブラジリア自体が一つの巨大な芸術作品だということを改めて強く感じました。民主制の中でこれだけの巨大な公共事業を遂行できたということ自体、奇跡としか言いようがありません。
ブラジリア大統領府官邸の独特の形状の柱については、フランスのアンドレ・マルローが、ギリシアの柱の次に美しいと称賛したそうです。
ブラジリアの数々の建築物のほか、ニテロイ現代美術館、イビラプエラ公園の設計等々、いずれもその斬新さに圧倒されます。
以下のドキュメンタリー映像を見ると、ニーマイヤーの思想やコンセプトを端的に理解することができます。
Oscar Niemeyer オスカー・ニーマイヤー FC2 Video - YouTube
この中でニーマイヤーは以下のような印象的なコメントをされています。
「私が心惹かれるのは、直角や柔軟性を欠く直線ではない。ただ自由で官能的な曲線だ。私はそれを故郷の山々や川の流れ、海の波、そして愛する女の体に見出す。アインシュタインの宇宙も曲線からできているのだ。」
「建築物は、それ自体で美しくあってほしい。つまり、構造そのものの美しさが作品に表れる建築が良いのである。ブラジリアの建築物は、すべてこの建築観に基づいている。」
なお、展覧会は原則写真撮影が認められているようで、建築関係者と思われる多くの方々が熱心に写真を撮られていました。
もちろん建築のことは詳しくわからない人でも大変楽しめる構成になっていますし、誰しもがクリエイティブな感性をくすぐられる、そんな展覧会でした。