映画、書評、ジャズなど

日野皓正ライブ@Monk

 昨日は日野皓正ライブを鑑賞してきました。

 日野皓正(tp)、石井彰(pf)、日野JINO賢二(eb)、須川崇志(wb)、田中徳崇(ds)といったメンバーです。日野JINO賢二さんは日野皓正さんの息子さんです。

 最初の2曲は何やら前衛的な音楽が続いた後、3曲目はチャップリンの♪Smile。そういえば、昨年10月にサントリーホールのガラ・コンサートで日野皓正さんがこの曲をソロで演奏していたのを思い出しました。

 後半の1曲目は♪黒いオルフェ。日野さんの演奏の神髄はやはりスローなバラードにあります。両頬と首までプウッーと膨らませてたっぷり溜めた空気をトランペットに強烈に吹き込んで繰り出される濃密な音色は、聴く人の心を直に揺さぶります。

 日野さんは40代の頃以来、お酒と煙草を断っているそうです。もうすぐ70歳になろうとしている現在でもこれだけの音を出せるのは、そうした普段からの節制がもたらしているのかもしれません。一音一音に魂を込めているという日野さんの言葉がよく分かりました。

 息子さん演奏に対する日野さんの熱いまなざしも印象的でした。もしかすると親子で得意なジャンルは少し異なる?のかもしれませんが、息子の得意なジャンルも演奏しつつ、息子さんの方も正統派のジャズ・スタンダードを一生懸命演奏されている姿はとても好感が持てました。一つの車に乗って親子連れだってライブ・ツアーをできる日野父子が少し羨ましく感じました。

 最前列に座っていた子供さんに向かって一生懸命語りかけている日野さんの姿は、正に親の顔そのもののような気がしました。

 演奏曲の中に、若くして亡くなられた弟のドラマー日野元彦さんの作曲された曲というのがありました。亡くなられた弟さんのことを曲の演奏を通じて語り継いでいこうという思いにはとても感銘を受けました。

 日野元彦さんといえば、ご夫人が六本木のライブハウス「アルフィー」のオーナーをされています。私もよく通っていましたし、今でも東京に行く際はよく足を運びます。

 日野さんの人間性も含めて、大変素敵なライブでした。