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金沢ジャズストリート2日目

大野俊三グループ

http://www.kanazawa-jazzstreet.jp/concert-19.html
 今日のジャズ探訪は午後の大野俊三グループから始まりました。NYで長年活動されているトランペットの大野さんがリーダーで、ピアノは東京で何度も鑑賞している秋田慎治さんが担当です。
 日本の歌から♪赤とんぼ、♪浜辺の歌などが独特のアレンジで演奏され、こういうのも案外ジャズに合うなぁと思ったりしました。♪スカボローフェアも前奏にピアノをフィーチャーした独特のアレンジで、なかなか聴かせるものでした。もう少し秋田さんのピアノを聴かせてもらえると良かったかなぁという気がしました。それにしても、大野さんのアレンジ能力によって、聴衆を楽しませるエンターテイメント溢れる内容のステージでした。

衝撃的な国立音大

 その後、尾山神社に移動し、学生ビッグバンドの演奏を2つ。
 最初は青山学院大学のロイヤル・サウンズ・ジャズ・オーケストラです。これは昨日も街角で聴いたのですが、ジミ・ヘンドリックスの曲をジャズ風にアレンジするなどなかなかチャレンジ精神に溢れた内容で、学生らしい若々しさが前面に押し出されているステージでした。このバンドは伝統的にギル・エヴァンスの曲を演奏する割合がかなりの部分を占めているようで、それなりにジャズを良く勉強しているといった印象です。

 その次は国立音楽大学のニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ。

 この実力の高さには度肝を抜かれました。ソリストたちがいずれもプロ級の腕前です。バンド全体のまとまりの良さも申し分ありません。それもそのはず、このバンドは「山野ビッグバンドジャズコンテスト」で4年連続優勝したチームだそうで、先日は小曽根真さんと一緒にあのブルーノート東京にも出演しているチームなのです。日が落ちていく神社の中で大迫力の音のアンサンブルはとても心地よいものでした。ジャズと神社の思わぬ融合に、おそらく千人近くいたのではないかと思われる聴衆は陶酔しきり、結局2度のアンコールが求められることになりました。2度目のアンコールの♪Birdlandは憎たらしいくらいアンコールに相応しい選曲で、聴衆も大喜びでした。

アメリカのこてこてジャズ

http://www.kanazawa-jazzstreet.jp/image/concert-19-oono.jpg
 さて、次に鑑賞したのはハーレム・ジャズマシーン。NYのハーレムで長年活躍するバンドということです。このバンドの凄さヴォーカルのグレゴリー・ポーターの声量に尽きます。♪Work Songで迫力のある歌声を披露したかと思えば、♪Skylarkではしっとりとした歌声を披露し、最近聴いた男性ヴォーカリストの中では最も強烈な印象を受けました。
 いかにもアメリカらしいジャズはそれはそれで良かったのですが、勢いのある他のバンドと比較すると全体的に何か力が抜けていたような印象を受けてしまったのは私だけでしょうか??


 いずれのライブも本当に満足のいくものばかりでしたが、今日最も感銘を受けたのは国立音楽大学のニュー・タイド・ジャズ・オーケストラの演奏レベルの高さでした。おそらくこのバンドのメンバーの中から、将来世界のジャズ・シーンで活躍される方も出てくるのでしょう。来年も是非このバンドの演奏を金沢で見てみたいものです。