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映画、書評、ジャズなど

「フラガール」★★★☆

 先日の地上波放送を録画して見ました。
 炭坑の閉山とともに開設された常磐ハワイアンセンターでフラダンスを踊る女性たちの誕生を描いた作品です。
 大変評判のよい映画のようだったので、前から見たいと思っていました。

 感動のシーンは定番の形であり、先が読めてしまうのですが、それでも日本人の琴線に触れるつぼがしっかり押さえられていて、思わず涙がほろりと流れてしまいました。

 炭坑が閉山になる町で、新たにハワイアン・リゾートが作られることになるが、その担い手は、かつて炭坑で働いていた人達だった。そこでフラダンスを踊るメンバーが結成されることになり、早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)を誘って参加する。そこには、父親の手で育てられた大柄の小百合(山崎静代)も参加していた。そして、彼女らを指導するために、かつて東京の大舞台でダンサーとして活躍していた平山まどか(松雪泰子)が泥酔状態でやってくる。彼女は借金取りに追われて、東京からはるばる逃れてきたのだった。

 まどかは、当初はど素人のフラガールたちを教えることに情熱を持てず、投げやりな指導をしていたが、次第に、フラガールに情が湧いてくる。しかし、炭坑の閉山で職を失った町の人々のフラガールたちに対する視線は冷たかった。そんな視線にもめげずに彼女たちは練習を積み重ねていった。

 そして、ハワイアンセンターのオープンの日を迎える・・・。

 この映画の設定は昭和40年ですので、日本は高度経済成長真っ盛りの時代です。人々は逆境の中でも夢を抱いて生きることができた時代だったといえます。この映画で描かれているのは斜陽産業としての石炭産業であり、炭坑の閉山によって人々は途方に暮れているにもかかわらず、夢を追う人々の姿が大変リアルに描かれています。それは、やはりこの時代が夢を抱ける時代だったということなのでしょう。だから、当時に比べて格段に豊かな今日の社会から眺めても、人々の琴線に触れることになるわけです。『三丁目の夕日』が日本人に大うけしたのと近い気がします。

 最後に、平山まどかが実在の人物で、今でも後進の指導に当たっていることが紹介されるのですが、それがまた映画のリアリティを高め、グッとこみ上げてくるものがありました。

 映画として何か特別優れた技巧が施されているわけでもなく、ストーリーが特段よくできているという感じでもないのですが、それでも日本人を大いに感動させてしまう、、、これはテーマの勝利といえそうです。