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映画、書評、ジャズなど

「湖のほとりで」★★★☆

映画

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD14655/
 イタリアのダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で史上最多の10部門を独占した話題作、ということで、銀座のテアトルシネマで鑑賞してきました。平日の昼間にもかかわらず(夏季休暇中です)、年配の方を中心にほぼ満員で、注目度の高さが窺えます。

 北イタリアののどかな湖のほとりの村で、一人の美しい女性アンナの遺体が発見される。この事件を解明すべく、刑事サンツィオが捜査を進めていくのであるが、その過程で村の人々の様々な人間模様が明らかになっていく。

 アンナの遺体は美しく、乱暴された形跡はなかった。しかもアンナには恋人がいたが、処女であったことも判明する。アンナはアイスホッケーに打ち込む快活な少女であったが、ベビーシッターをしていた先の幼児が死亡した辺りから、急に性格が変わったことも明らかになる。その幼児はビスケットを喉に詰まらせて亡くなったのであるが、その後、その両親は離婚していた。

 刑事のサンツィオも、妻が若年認知症という悩みを抱えており、自分の娘に母親のことをどう理解させるかに頭を悩ませていた。

 サンツィオはアンナの恋人を容疑者として逮捕するが、更に捜査を進めていく過程で、ベビーシッター先の亡くなった幼児の父親とアンナの関係が浮上してくる・・・。


 人物の心理描写の手法はさすがヨーロッパ映画だなぁと感心してしまいました。派手さを売りにするハリウッド的な映画作りとは大きく異なっています。

 ただ、ストーリーがよくできているかというと、必ずしもそういう感じはせず、ストーリーの枝葉の部分が必要以上に膨らんでしまっていて散漫な感じも受けました。関係者がいろいろな心理的な闇を抱えているということを描写したかったことは分かるのですが、それがストーリーの結末につながっていってない面も多く、もう少し軸となるストーリーをしっかりと構成した方がよかったのではないかという気がしてしまいました。あるいは、村全体の闇を表現するのであれば、村人たちの共通の闇のようなものを設定して表現した方が焦点がはっきりしたのではないかという気もしました。

 また、映画の舞台となっている村の湖の景色は美しいのですが、住宅地の風景は何か日本のちょっとした田舎のありきたりな住宅地とあまり変わらず、絵的にももう少し工夫があってもよかったのではないかという気もしました。

 まぁこうした点はさておき、やはり静かに淡々と流れていくような映画というのもいいものです。