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映画、書評、ジャズなど

「ライムライト」★★★★☆

映画

 チャップリンの「自伝的」ともいうべき映画です。主人公のカルヴェロに自らを重ね合わせていることは明らかでしょう。美しい主題歌が印象的な作品です。

 かつて喜劇役者として名を馳せたカルヴェロは今や落ちぶれてしまっていた。そんなとき、足が動かなくなって絶望しているバレリーナのテリーが自殺を図っているところに遭遇し、テリーを助け出す。カルヴェロはテリーを必死に励まし、テリーはある日足が動くようになる。その後のテリーはスターダムにのし上がっていく。

 テリーはカルヴェロに求婚するが、格段に年上のカルヴェロは躊躇し、テリーの下から姿を消してしまう。

 やがてテリーはカルヴェロを発見し、かつてカルヴェロを世話したボスタントはカルヴェロを再び舞台に出演させる。この興行は大成功を収め、カルヴェロは何度もアンコールに応えて舞台に再登場するが、最後は力尽きてしまう・・・。


 この作品からは、チャップリンの喜劇に対する恐怖感のようなものが感じられます。大野裕之氏のDVDの解説によれば、実際チャップリンは、この作品のアイデアを、フランク・ティニーというアメリカの喜劇人から着想したようです。絶頂だったティニーの舞台を見た何年か後に再び見たティニーは、喜劇の女神が去ってしまい、元気と自信を失ったティニーだった。それがチャップリンにどれほどの恐怖感を与えたかは想像に難くありません。この作品で最後にカルヴェロが観客の笑いに包まれながら生涯を終えるというのは、正にチャップリンの願望に近かったのではないかと思われます。

 チャップリンはこの作品の製作後、アメリカから追われることになりますが、その20年後に、アカデミー賞授賞式に招待され、特別賞を受賞します。この作品でチャップリンが奇しくも露呈した願望が少し異なった形で現実のものとなった恰好です。

 山高帽のチャーリーを通して常に人間の優しさを表現し続けてきたチャップリンですが、この作品も、チャーリーこそ登場しないものの、チャップリンの温かさが存分ににじみ出た作品となっています。