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「モリコーネ 映画が恋した音楽家」★★★★☆

 

観たかった作品でしたが、やっと観ることができました。評判通りの素晴らしい作品で、関係者のインタビューを巧みに編集して、全く飽きない構成となっています。

 

モリコーネは、トランペッターの父親の影響で、音楽学校に入学します。そこでペトラッシに師事して作曲の道を進みます。やがて映画音楽を手がけるようになり、『荒野の用心棒』などウエスタン映画で数々の印象的な音楽を世に送り出します。その後も、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、『ミッション』、『アンタッチャブル』そして極め付けは『ニュー・シネマ・パラダイス』など、映画史に残る映画音楽を手掛けます。

伝統的な作曲が王道な中で映画音楽は邪道のように見られ、モリコーネは何度も映画音楽をやめようとします。アカデミー賞でもなかなかオスカーが取れず、正当に評価されない日々が続きます。

そして、ようやく2015年になり、『ヘイトフル・エイト』で念願のオスカーを手にすることになります。

作品中では、9・11の後のコンサートの様子なども取り上げられています。

生涯を通じて500以上の映画・テレビ音楽を手掛けたというのは、想像を絶する仕事量です。これだけの量の映画・音楽のそれぞれのシーンに見合った的確な音楽を付ける作業は、凡人にできることではありません。

 

2時間半という時間があっという間に過ぎてしまう、本当に素晴らしい作品でした。