ウディ・アレンの素敵な作品です。相変わらず洗練されたウィットに富んだ切れのあるジョークの連続で、さすがウディ・アレンと言いたくなる作品です。
アイビーリーグの大学を中退して今は田舎の大学に通っているギャツビーは、その彼女で大学新聞の記者のアシュレーがマンハッタンで大物監督ポラードにインタビューする機会を得たのをきっかけに、2人で週末を過ごすつもりでマンハッタンに向かう。
アシュレーのインタビューは短時間で終わるはずだったが、ポラードは制作中の作品への不満をアシュレーに告白したことから、話は思わぬ方向に進む。行方が分からなくなったポラードを探しているうちに、アシュレーは大物俳優に誘惑され、あわや情事に至る寸前に。
一方、ニューヨーク育ちのギャツビーは、かつての彼女の妹チャンと再会し、エキストラとして2人はキスシーンを撮影することになる。
ギャツビーは、親戚に見つかり、母親の主催するパーティーに出席せざるを得なくなる。そこで、急遽、コールガールを彼女ということにしてパーティーに出席するが、母親に見抜かれてしまう。
マンハッタンに浮かれていたアシュレーは、やっとギャツビーと待ち合わせていたカーライルホテルのバーに行くと、静かにピアノを弾くギャツビーがいた。
2人は馬車で観光した後、大学のある田舎に戻ることにしたが、ギャツビーは、馬車に乗っている途中、急に馬車を降り、もう大学には戻らないことをアシュレーに告げた。そして、ギャツビーは時計台に向かい、同じくそこにやって来たチャンと抱擁を交わした。。。
ちょっとした偶然がきっかけで、運命が大きく左右されるという設定は、『マッチポイント』などウディ・アレン監督お得意の作品スタイルです。
そして、いつものウディ・アレンの作品と同様に、この作品でもジャズのスタンダード曲が効果的に使われています。特にティモシー・シャラメが弾き語りする♪Everything Happens to Meは、多くのジャズ・ミュージシャンが演奏してきた美しい曲です。
ティモシーの弾き語り、美声をチェット・ベイカーの曲に乗せて/映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』本編映像
ギャツビーがチャンと2人きりの部屋でこの曲を演奏するシーンを見ると、おそらく2人は結びつく展開なんだろうなあということが容易に想像できます。
個人的には、この曲の演奏の中では、『Fly to Denmark』に収録されているデューク・ジョーダンの演奏が大好きです。
Everything Happen to Me - Duke Jordan Trio
ニューヨークという街の哀愁たっぷりの魅力が存分に映像化されたとても素敵な作品で、途中、まったく退屈することなくあっという間に見終えてしまう作品でした。