イングマール・ベルイマン監督の作品です。
冒頭からいきなり前衛的な空気感が前面に押し出され、ラストまでもやもや感が拭い去れないような、難解な作品です。
舞台女優のエリザベートは、あるとき突然舞台上で口をつぐんでしまい、それ以降、言葉を発しなくなってしまう。その看護に当たったののが、看護師のアルマだった。
2人は、担当医の提案で、その担当医の所有する別荘で2人で生活することに。
別荘では、アルマが一方的にしゃべり続けるが、エリザベートは相変わらず言葉を発しない。
アルマは、過去に自分が見知らぬ男の子と乱交しやことや、堕胎したことなどを、赤裸々に語りだす。
しかし、そんな打ち明け話をエリザベートが冷静に担当医に手紙で報告していたことで、アルマはエリザベートに憤るのだが、エリザベートに嫌われたくないとの思いから、再び関係を修復させる。
そこに、エリザベートの夫と息子が訪れる。夫はアルマをエリザベートと勘違いして話し続ける。
そして、アルマはエリザベートに、エリザベートの過去について、あたかも自分のことのように話し出す。2人の顔は半分ずつ融合する。
アルマは荷物を片づけ別荘を後にする。。。
エリザベートの夫が、アルマをエリザベートと勘違いする(しかも、エリザベートがすぐそばに立っているのに)辺りで、エリザベートとアルマは同一人物の裏表として描かれようとしていることに気づきます。
ただ、なぜそうしたプロットが必要だったのか、監督の意図は最後まではっきりしないままで物語は終了します。
そうした難解さが故に、この作品の哲学的な分析の余地が生まれているという見方もできるでしょう。
終始重苦しい空気が漂う感覚は、ある意味ベルイマン監督らしい作品でした。