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「パラサイト 半地下の家族」★★★★☆

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韓国の失業中の一家が、高級住宅地に住む富裕層の家庭を食い物にするという話です。

 

半地下のアパートに住むキム一家の長男ギウは、留学に行く友人から家庭教師の仕事を引き継ぐ。教える相手は、高級住宅街の豪邸に住む会社社長パクの娘だった。ギウはその娘から好かれて、家庭教師に採用される。そして、ギウは、自分の妹、そして母親、父親を他人のふりをして次々とパク家の雇われるよう仕組んでいく。こうして、キム一家はパク家を食い物にして仕事を得ることに成功する。

しかし、パク家がキャンプで家を留守にしているとき、豪邸で宴を催していたキム家のところに、追い出されたパク家の元使用人が訪ねてきた。実は、その使用人は、パク家に知られずに豪邸の秘密の地下室に自分の夫をかくまっていたのだ。そこに雨でキャンプを断念したパク家が戻ってくるが、その場は何とか修羅場を免れた。

そして、パク家は娘の誕生日会の際に事件が起こる。パクの妻は友人らを呼んで優雅なホームパーティーが繰り広げられていた。そこに、元使用人の夫が地下室から抜け出してくる。そして凄惨な殺人が起こる。

生き残ったギウであったが、重度の脳障害が残る。キム家の父親はその後行方が知れなかったが、ギウには行き先は分かっていた。それは、豪邸の地下室だった。。。

 

 韓国社会の格差による社会の分断を皮肉を込めて見事に描いています。貧しい層は豊かな人々に取り入られるように、時には媚びへつらいながら仕事にありついていますが、その底流には恨みや憎しみが流れており、それが一気に噴出したのが最後の凄惨な事件だったと言えるでしょう。

 

そうした作品の社会的な背景を別にしても、この作品は大変よくできており、改めて韓国映画のクオリティの高さを実感しました。

 

そして、描写がとてもストレートなところはある意味、好感が持てます。バイオレンスのシーンは徹底的に残酷、凄惨な描かれ方がされています。

貧困層への差別の描写も、その「臭い」を強調することに躊躇がありません。

エロチックなシーンも、生々しい描写がなされています。

こういう型にはまらないところは、映画ならではという気がします。

 

こういう作品は、ハリウッドにも作れないでしょうし、日本でも作れないような気がします。

 

とても楽しめた作品でした。