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「終電車」★★★★

 

終電車 Blu-ray

終電車 Blu-ray

 

 フランソワ・トリュフォー監督の1981年の作品です。

カトリーヌ・ドヌーヴの演技が光っています。

 

舞台は第二次大戦中のドイツ占領下のパリ。モンマルトル劇場の支配人であり演出家のユダヤ人ルカ・シュタイナーは、劇場の地下に身を潜め、妻のマリオンが支配人兼女優として活動していた。

劇場では、ルカが書いた『消えた女』の上映に向けて稽古が行われていた。新人のベルナールがマリオンの恋人役として起用された。

マリオンは毎晩ルカの下を訪れ、ルカは通気口から聞こえる稽古の音を聞きながら、アドバイスを与えていた。

『消えた女』は好評だったが、唯一ドイツ寄りの批評家ダクシアは辛口の批評を乗せた。ベルナールはダクシアに対し、マリオンに謝るよう喧嘩をふっかけ、それ以降、マリオンはベルナールと口をきかなくなった。

ベルナールは役を降りることをマリオンに告げる。実はマリオンはベルナールに恋心を抱いていたのだった。ルカもそのことを悟っていた。2人は口づけを交わし抱き合う。

やがてドイツ軍が一掃され、ルカも表に出られるようになった。マリオンはルカの演出で再びベルナールと共に舞台に立っていた。。。

 

ラストシーンの演出はトリュフォー監督らしさが光っていました。舞台を降板し去っていったベルナールが入院している病院をマリオンが訪れる。ベルナールはマリオンにもう愛はないので帰ってくれと伝える。そしてベルナールは起き上がり、マリオンと手をつなぎ、看護師たちも手を取り、カーテンコールのシーンへ。病室だと思われたのは、実は舞台の上だったのです。この観客をあっと言わせるラストシーンは、さすがトリュフォー監督です。

 

ずっと暗い雰囲気で来たのが、ラストでパッと明るくなり、とても後味のいい作品でした。