カーライルホテルを巡る様々なエピソードを集めたドキュメンタリー映画です。従業員たちがまるで家族のように温かくゲストをもてなす姿勢が、とてもほのぼのした空気を醸し出しており、心温まります。
ホテルの従業員たちから評判がいいゲストは、ジャック・ニコルソンとジョージ・クルーニーです。2人とも、従業員たちに気さくな態度で接していたようで、人柄の良さが画面を通じて伝わってきます。ジョージ・クルーニーは、この映画の中でかなり長時間のインタビューにも応じており、家族ぐるみでカーライルホテルを愛していることを告白しています。
この作品は、あまり知られていないセレブにまつわる多くのエピソードが登場します。例えば、ポール・ニューマンがホテルのレストランでドレッシングを自分で調合し、それを商品化したという話。ホテルの従業員が、ドレッシングの商品化に関与できたことを誇らしげに話しているのが印象的です。
また、エレベーターで、ダイアナ妃とマイケル・ジャクソンとスティーブ・ジョブズが一緒に乗ったという話。エレベーターの中は沈黙が続く、、、ダイアナ妃が♪Beat Itを口ずさむまでは、、、という話は、その情景が目に浮かぶようです。
長年エレベーターのスタッフを務める男性が、20秒間の会話ならおまかせください、と誇らしげに話す姿が、とても印象的です。個々のスタッフが誇りを持って仕事をしていることが、カーライルホテル全体の信頼性や質の高いおもてなしにつながっていることを感じます。
このほか、レニー・クラヴィッツもインタビューに応じ、幼い頃から両親に連れられて、カーライルホテルの演奏を聴きに来ていたことを告白しています。
カーライルホテルの演奏といえば、ピアノの弾き語りを長年務めてきたボビー・ショートです。この作品でもボビー・ショートは何度も登場しますが、彼が長年にわたっていかに多くの人々を魅了してきたかが伝わってきます。
Bobby Short Performs at The Carlyle
その他、ソフィア・コッポラ、トミー・リー・ジョーンズ、ナオミ・キャンベルなどなど、そうそうたる顔ぶれのセレブ達がインタビューに応じ、カーライルホテルへの愛を語っています。
挙句にはケネディ大統領とマリリン・モンローが秘密の通路を使って密会していたという真偽不明な話まで登場します。
とにかく、きらきらと輝くような珠玉のエピソードが次々と披露され、ホテルのスタッフとゲストのセレブ達の相思相愛の関係がとても美しいです。
コンシェルジュのドワイトは、吃音に悩ませられながらも、多くのゲストたちの信頼を得てきました。しかし、そのドワイトがカーライルホテルを去ることになります。しかし、多くの若いスタッフたちは、ホテルマンとしての誇りに満ち溢れており、ドワイトのおもてなしの心がしっかりとカーライルホテルに受け継がれていることを感じます。
バックの音楽も素晴らしく、映画の雰囲気をうまく作り上げていました。中でも、US Navy Bandの♪Begin The Beguineは何度も作中に流れていてとても印象的でした。
とても素晴らしい映画でした。