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「大砂塵」★★★★☆

 

大砂塵 [Blu-ray]

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 女同士の争いに男たちが巻き込まれて熾烈な抗争を巻き起こす西部劇です。

 

ビエンナは、アリゾナの僻地で賭博場を営んでいた。そこに、ギター弾きのジョニーが訪れる。ビエンナはジョニーが来るのをずっと待っていた。

そこはやがて鉄道が開通すれば地価が上がることが期待されており、ビエンナは大金を得るはずだった。しかし、地元も人たちはビエンナの商売に反対して、追い出そうとしていた。

反対の先頭に立っていたのが、エマという女だった。エマは荒くれ者のギャングの男キッドを巡ってビエンナを敵視していた。自分の父親が殺害されたのもビエンナが関わっていたと信じており、ビエンナを縛り首にするよう主張していた。そんな状況の中、ビエンナは毅然と振る舞う。

 

キッドは銀行を襲撃したが、その一味の男が怪我をして、ビエンナの下へ逃げ込んで来る。ビエンナはその男を匿うが、裏切られて、襲撃への関与を疑われる。縛り首になる寸前に、ジョニーがビエンナを救出する。

 

2人はキッドが隠れている空き家に向かう。そこに、エマを先頭とする地元の人々がやってくる。最後は女2人の直接対決となり、ビエンナがエマを射殺する。

 

人々が立ちすくむ中、ビエンナとジョニーは新たな生活を目指して去っていく。。。

 

 

単なる西部劇とは違い、女2人の壮絶な対決が軸となっているところに、この作品の面白さがあるように思います。そして、ビエンナの毅然とした態度や言動がとても清々しく、魅力的です。

ビエンナはあらぬ嫌疑をかけられて縛り首寸前のところまでいくわけですが確かにこの時代は確固たる法秩序や警察権力もなく、最後は銃を使って秩序が維持されたであろうわけです。かといって、闇雲に銃を使えば、そんな荒くれ者はパージされたり殺されてしまうわけです。この時代の秩序の維持がいかに薄氷の上に成り立っていたかが、作品の雰囲気から伝わってきます。

 

そんな社会の中心で強い女として戦うビエンナの姿が、この作品の魅力を生み出しているように思います。

 

この作品では、ペギー・リーの歌う曲♪Johnny guitarが素晴らしいです。


「ジャニー・ギターJohnny Guitar」ペギー・リー、Peggy Lee

 

余韻が強く残るステキな西部映画でした。