アカデミー賞作品賞作品を鑑賞してきました。
黒人ピアニストのドン・シャーリーとそのマネージャーとして雇われた白人男性トニー・リップが、全国を公演で回るというストーリーです。
シャーリーは繊細な感性を持つピアニストであるのに対し、リップはがさつで喧嘩っ早い、と対照的な2人。
ツアーの最終地では、公演会場のホテルのレストランで、シャーリーは黒人であることを理由に入店を拒否される。シャーリーとリップは、公演をキャンセルし、黒人客が溢れかえるカジュアルな居酒屋で演奏し、客と一体になって大いに盛り上がる。
2人はそのままクリスマスに間に合うようにニューヨークに戻る。リップのホームパーティーに姿を現したシャーリーを一同は歓迎した。。。
ストーリーは極めて単純で、男2人の間に次第に芽生えてくる共感が良く描かれています。
黒人の方がエレガントで、白人の方が粗野という対照的なキャラクターの構図で描かれているのが特徴的ですが、それでも、本質的な部分においては、白人が優位な社会であることが表現されています。
ただ、作品の描かれ方としては、リップが主人公であり、リップ中心の目線で描かれている面が感じられました。こういうテーマを扱うのであれば、シャーリーとリップの2人の目線をフラットに描いた方が、より幅広い観衆の共感を得られたように思います。
清々しいエンディングでありながら、どこか居心地の悪さが残ってしまったのは、こうした面にあるのではないかという気がしました。