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「シマロン」★★★★

 

シマロン [DVD]

シマロン [DVD]

 

1960年公開の西部開拓映画です。

19世紀後半の西部開拓の熱気がムンムン伝わってくる作品です。

 

お嬢様のセイブラは、両親の反対を押し切って、結婚したばかりの弁護士の夫ヤンシーとともに、西部オクラホマの「ランド・ラン」に参加する。ランド・ランとは、開拓地に新規に入植者を募集する際、号砲を合図に一斉に馬を走らせ、早い者勝ちで土地を獲得する命がけのレースだ。

ヤンシーは結局、希望する土地を獲得することができず、育ての親の後を継いで新聞社を経営することに。

だが、ヤンシーは新聞社経営だけで満足せず、持ち前の正義感が高じて、命の危険を冒して原住民を守ったり、ギャングと闘ったりして、何年も家を離れて、義勇兵に参加したりする。同じ時期に入植した他の人々の中には、石油を掘り当てたトムのように、大いに出世する者もいる中、いつまでも安定しない生活が続くことに対し、次第に妻セイブラの不満は溜まっていく。

あるとき、ヤンシーに知事に任命するのでワシントンに来るようにという電報が届く。今度こそは安定した生活を得られると、セイブラも喜ぶ。しかし、ワシントンに行ってみると、そこには石油で財を成したトムがいた。トムは、原住民の権利を奪ったということで、ヤンシーが新聞で批判した人物だった。トムが、ヤンシーを懐柔するために知事の任命を画策したと知り、ヤンシーは知事を断り、セイブラはヤンシーに憤る。

ヤンシーはその後、音信不通となる。セイブラは新聞社を切り盛りし、大きな企業へと育てた。ヤンシーは第一次大戦に英国兵士として参加しているとの情報があったが、その後、戦死したとの報がセイブラのもとに届く。

ヤンシーはオクラホマの英雄として銅像が建てらえれた。。。

 

さんざんヤンシーに振り回され続けたセイブラですが、晩年は、ヤンシーのことをようやく理解するようになっていくところが、とても清々しいです。

そして、「ランド・ラン」のシーンは圧巻です。膨大な数の馬と馬車が一斉に草原を駆け抜けます。途中、段差につまづいて多くの馬車が破壊され、多くの人々が馬から振り落とされ、中には後から迫る馬や馬車に轢かれて命を落とす者もいます。実際の情景がどうだったかは分かりませんが、土地の獲得に向けた人々の飽くなき欲求と熱気が見事に表現されたシーンです。

 

見ごたえのある作品でした。