ジョン・ル・カレの原作を映画化した作品です。2005年の公開当時に映画館で鑑賞しましたが、久々に観て、やはりいい作品だと思いました。
イギリス外交官のジャスティン(レイフ・ファインズ)はケニアに赴任している。妻のテッサ(レイチェル・ワイズ)も、アーノルドという黒人男性と共に、現地の貧困層の医療問題に取り組んでいた。
しかし、テッサとアーノルドが共に活動で向かった先で、テッサが事故死したという一報にジャスティンは接する。
テッサとアーノルドの関係は、周囲から怪しまれていた。ジャスティンも当初は、2人の関係を疑っていた。しかし、アーノルドは同性愛者であり、テッサと恋に落ちることはあり得ないことをジャスティンは知る。
さらにジャスティンは、テッサは、欧米の製薬企業が、いまだ危険性が払拭されていない医薬品の効果を確かめるために、ケニアの貧しい人々を治験の対象としていたことを突き止め、その問題を政府の高官に直訴していたことを知る。テッサは、ジャスティンに迷惑をかけないよう、ジャスティンに知らせずにこうした活動をしていたのだった。
ジャスティンは、テッサの遺志を引き継ぎ、欧米の製薬企業の横暴を暴いていく。その過程で、ジャスティンは自分の上司も、テッサの活動を妨害していたことを知る。テッサは、製薬業界と政府の利権に手を付けようとして、命を奪われたのだった。
ジャスティンは、テッサが命を落とした場所に赴いた。そして、テッサと同様に、何者かによって命を奪われる。。。
The Constant Gardener - Trailer
当初、ジャスティンは妻テッサの不貞を疑っていたのが、次第に、テッサへの疑惑が晴らされていき、テッサが自分を愛していたことを知り、ジャスティンは妻を疑った自分を恥じていく過程が実によく描かれています。
ちなみに、原題は“The Constant Gardener”です。ジャスティンは庭いじりが好きな外交官という設定ですので、こういうタイトルが付けられたのでしょう。しかし、外交官でありながら、妻のように社会問題に大した関心を持つわけでもなく、妻が命を落として、その真相を探っていく中で、ようやく庭いじりを超えて、社会問題に関心を抱くようになっていくというジャスティンの成長過程としてこの作品を見れば、非常に奥が深いタイトルのように思います。
この作品の魅力の一つは、レイチェル・ワイズの魅力的なキャラクターでしょう。美貌もさることながら、夫に見せる天真爛漫な姿と、その裏で社会問題に鋭く切り込む熱意を併せ持つ難しい役柄をうまく演じています。アカデミー賞では助演女優賞を受賞していますが、大いに納得です。