ジュネーヴの国際保健機構に侵入したテロリストが、誤って細菌に触れてしまい、そのままストックホルム行きの列車に乗り込んでしまい、列車がパニックになるという話です。
当初、乗客たちは細菌にまみれたテロリストが乗り込んでいることを知らなかったのだが、その間に、テロリストは多くの乗客たちと接触して、感染が広がってしまう。事態の重大さを認識したアメリカ陸軍の大佐は、乗客が脱出して感染が広がるのをおそれ、列車の停止を許さない。
列車は目的地を変更し、ポーランドに向かって除染されることに。しかし、ポーランドに行くためには、「カサンドラ・クロス」という古びて長年使われていない鉄橋を渡る必要があった。列車が通過すれば、鉄橋は崩壊するおそれがあった。
乗客たちはやがて事態に気付く。列車には防護服に包まれた大量の兵士が乗り込んでくる。
列車がカサンドラ・クロスに向かっていることを知った乗客たちは、兵士に列車を止めるよう訴えるが、兵士たちは権限がないことを理由に拒否。
絶望的になった乗客は、兵士たちと撃ち合いになる。そして、一部の乗客は、列車の車両を切り離すべく、ガスボンベを爆発させた。
列車は、前方部分はカサンドラ・クロスに突入し、橋は崩落し、多くの乗客が川底に転落。後部はかろうじて橋の手前で停車し、助かった乗客たちは列車から逃げていく。
大佐は上司に、列車は川底に転落し、生存者はいないと報告。
大佐が街へ出ていくと、その部下は大佐に見張りを付けたのだった。。。
伝染すると甚大な被害が予想される状況の中、国家がどう対応すべきか、という難しい課題を孕んだストーリーです。国家としては、隔離政策を選択するわけですが、隔離される側としては、人権侵害を受けるわけです。橋が崩落する危険を知りながら列車を突っ込ませた大佐の行動が一概に悪意に満ちているとまでは言えないわけで、大変難しい状況です。
それにしても、ラストのシーンは意味深です。罪の意識に苛まれる大佐に、その部下が尾行を付けるという行為。これをどう解釈すべきでしょうか?その解釈はなかなか難しいですが、いずれにしても、国家の権力の威を借りて大勢の乗客を死に追いやったという一見強い立場の大佐が、案外脆い立場に置かれているというのは、何とも皮肉なことです。
ある意味では淡々としたストーリー展開ではありますが、最後まで引き込まれてしまう作品でした。