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「真夜中のカーボーイ」★★★☆

 

シュレシンジャー監督の1969年の作品です。

タイトルからは西部劇であるかのように錯覚してしまいますが、田舎から大都会に出てきた若者の話です。当時のアメリカ社会の自由を謳歌する若者たちの空気を色濃く反映したような作品ですが、今見るとなかなか共感しにくさを感じざるを得ない作品です。

 

ジョージョン・ヴォイト)は、女性を手籠めにしてお金を稼ごうと、テキサスからニューヨークに出ていく。しかし、現実はそう甘くはない。

そんなとき、ジョーは、片足が不自由なラッツォ(ダスティン・ホフマン)と飲み屋で出会う。ラッツォはジョーに金を貢いでくれる女を斡旋することになったものの、紹介されたのは男色ばかりだった。

ジョーはラッツォに激怒するが、やがて2人は共同生活を始め、手を組んでお金を稼ぐようになる。

ラッツォは体調を崩し、フロリダへの移住を強く望む。ジョーはラッツォの夢をかなえるべく、男色の男から巻き上げた金でラッツォとバスでフロリダに向かう。

しかしラッツォはバスの中で力尽き、命を落とす。。。

 

 

この作品はアカデミー賞の作品賞を受賞するなど、高い評価を得ている作品ですが、私は正直、この作品のどこに共感したらよいのか、最後までよく分かりませんでした。

ジョーとラッツォの友情が芽生えていく過程も、正直あまり説得力を感じませんでした。

ただ、そういうことも含めて、この作品ができた時代背景を象徴しているのでしょう。いわゆるヒッピー文化全盛で、ベトナム戦争に疲れた若者たちがやみくもに自由を求めていた時代にあっては、ジョーのような既成の常識にとらわれず行き当たりばったりの生活を送ることに対して、一定の共感が寄せられたのでしょうか。

 

なかなか評価の難しい作品でした。