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映画、書評、ジャズなど

「暗い日曜日」★★★★★

映画

 

暗い日曜日 [DVD]

暗い日曜日 [DVD]

 

 1999年公開の作品で、第二次大戦下のハンガリーブダペストを舞台にしています。♪暗い日曜日と奇妙な三角関係を描いた素晴らしい作品です。

レストランを経営するラズロとウェイトレスのイロナは恋愛関係にあった。そのレストランのオーディションを受けに来たのが作曲家でピアニストのアンドラーシュだった。イロナはアンドラーシュとも恋に落ち、3人は互いに公認の三角関係になる。

アンドラーシュは自ら作曲した♪暗い日曜日を演奏したところ、瞬く間に話題となった。レコードの発売も決まり、町中でこの曲が流されたのだが、この曲を聞いて自殺する者が後を絶たなかった。

やがて、ナチスの影響がブダペストにも及んでくる。かつてレストランの常連だったドイツ人のハンスがナチスの一員として再び戻ってきた。ハンスはかつては商社の経営を目指す純朴な若者だったが、傲慢な人間となって戻ってきた。

ハンスはアンドラーシュに対し、強引に♪暗い日曜日を弾くことを求めたが、アンドラーシュは拒否。イロナが歌を歌うことでことなきを得たが、アンドラーシュはその場で自殺する。

ユダヤ人のラズロは、強制連行の対象だったが、世話になったハンスは、ラズロに対し、強制連行の名簿から外すことを約束していた。しかし、実際にはラズロにもナチスの手が及んでくる。

かつてハンスからプロポーズを受けたことがあったイロナは、ハンスのところに赴き、ラズロを助けてくれるよう懇願する。ハンスはイロナとの肉体関係を結ぶが、結局、ラズロは助からなかった。

その後、イロナはその息子と一緒に店を継ぐ。何十年後、80歳となったハンスは再びこのレストランにやってくる。店内にあったイロナの写真を見た途端、ハンスは体調を崩し、絶命する。

見事毒殺に成功したイロナとその息子は、店の裏手でささやかに祝杯を挙げた。。。

 

 

イロナが数十年の時を経てハンスへの復讐を成し遂げるのが、何とも痛快です。じっとその時を待っていたのでしょう。

この映画の魅力は、イロナを演じるエリカ・マロジャーンでしょう。作品中では惜しげもなく裸体を晒していますが、小悪魔チックな魅力的な女優さんです。ハンガリーの女優さんのようです。

この作品では、ラズロとアンドラーシュとイロナが三角関係となっており、ラズロとアンドラーシュもそれを受け入れつつ、日替わりでイロナと夜を過ごす約束になっているという設定になっています。普通には考えられないシチュエーションなのですが、イロナの魅力も相まって、あまり違和感を感じさせません。ごく自然な形で三角関係が出来上がっているのです。

そして、一見、ある種の調和の中で、それぞれが幸せな日々を過ごしているとき、ナチスが人々の幸せにずかずかと入り込んできて、あっという間にめちゃくちゃにしてしまうわけです。作品の中にこうした歴史的な背景がしっかりと埋め込まれていて、作品の深みにつながっているような気がします。

 

これは、イロナが自ら歌を歌うシーンです。


Gloomy Sunday -Original, Hungarian Version

 

ビリー・ホリデイのバージョンも、全く趣が異なる仕上がりです。


Gloomy Sunday - Billie Holiday

 

Wikipediaによれば、この♪暗い日曜日は、もともシェレシュ・レジェーというハンガリーの作曲家によるもののようで、実際にこの曲とのつながりがあると思われる自殺が多発したこともあるようで、「自殺ソング」というありがたくない呼び名があるようです。シェレシュ・レジェーは、この映画のアンドラーシュと同様、ブダペストのレストランでピアニストをしているときに、この曲を作曲したもののようです。そして、シェレシュ・レジェーもやはり自殺しているとのこと。

 

久々に心底感銘を受けた作品でした。