読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
映画、書評、ジャズなど

「見知らぬ乗客」★★★★☆

見知らぬ乗客 [DVD] FRT-106

見知らぬ乗客 [DVD] FRT-106

 たまたま同じ列車に乗って見知らぬ乗客と話したばっかりに、予期せぬ形で犯罪に巻き込まれてしまうという恐ろしいストーリーです。監督のヒッチコックに加え、脚本でレイモンド・チャンドラーが参加していますが、両者はソリが合わなかったようです。

 テニスプレイヤーのガイ・ヘインズは、同じ列車に乗っていたブルノ・アントニーから声をかけられる。ガイが妻と不仲であることを知っていたブルノは、自分も父親に殺意を抱いており、交換殺人をしないかと提案する。ガイはその話を受け流していたのだが、ブルノは実際にガイの妻を遊園地で勝手に殺害してしまった。

 ガイは当然警察から嫌疑をかけられる。そしてブルノは、ガイに対して、列車の中で交換殺人の約束をしたはずだとして、ブルノの父親を殺害するように迫る。さらにブルノは、ガイが列車の中に置き忘れたイニシャル入りのライターを持っており、それを殺人現場の遊園地に置きにいこうとしていた。

 ガイはテニスの試合が終わった後、ブルノを追って遊園地に向かう。最後は暴走するメリーゴーランドで激闘が繰り広げられ、ブルノは崩壊したメリーゴーランドの下敷きとなり、息絶える。その手からは、ガイの証言どおりガイのライターが出てきたため、ガイの疑いは晴れたのだった。。。

 それにしてもゾッとする話です。見知らぬ人物から一方的に交換殺人を持ちかけられたばかりに、犯罪に巻き込まれてしまう、という設定は、自分の身にも十分にふりかかりそうなシチュエーションです。

 作品中には、いかにもヒッチコックらしいシーンが随所に見られます。ガイの妻が殺害されるシーンが眼鏡のレンズの反射を使って表現されていますが、残酷な描写を用いずして、観る側に恐怖心を与えており、大変効果的な手法といえます。

 メリーゴーランドが暴走するというシーンは、今の時代で考えれば、スケールの小ささを感じてしまいますが、当時のスケール感はもっと違ったのでしょう。

 ヒッチコックらしさが大変巧く現れていた、楽しめる作品でした。