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映画、書評、ジャズなど

「ファーゴ」★★★★☆

 コーエン兄弟による1996年の作品です。荒涼としたアメリカの田舎町の風景の中で冷酷に繰り広げられる殺人の様子が描かれており、背筋が凍りつくほど迫力ある作品です。

 ジェリー・ランガードは義父の経営する会社で自動車のディーラーを務めている。多額の借金を背負っており、大金が必要だったが、金持ちの義父はお金に渋かった。そこでジェリーは、自分の妻の誘拐を依頼し、義父から身代金をせしめ、自分も恩恵に預かろうと企んだ。

 しかし、依頼を受けて誘拐を実行した2人の男は、逃走中に警官に車を止められ、警官を射殺、その後、通りかかったカップルも次々と射殺してしまう。

 収集の付かなくなった実行犯たちは、身代金の要求水準を引き上げていき、ジェリーもコントロールが効かなくなっていく。そして、誘拐された妻は殺害され、身代金の受け渡しに来た義父も射殺される。

 実行犯は仲間割れし、一方が相手の死体を処分しているところに、地元の女性警官マージによって踏み込まれ、逮捕される。誘拐を依頼したジェリーもモーテルで逮捕された。。。

 この作品では、女性警官マージの存在が重要な位置づけを占めています。仕事のできる警察官であり、男性たちからも注目される存在でありながら、冴えない風貌の太った夫と幸せを噛みしめていますが、無意味な殺人とマージの生き方とが対比されることで、殺人の冷酷さが浮かび上がってくる構図となっています。

 そして、身内を誘拐させるというジェリーの愚行も、マージの平凡で幸せな生き方と対比されることで、その愚かさが際立っています。

 さすがコーエン兄弟という感じの巧妙な構成ですし、マージを演じたフランシス・マクドーマンドの演技が光っていた素晴らしい作品でした。