ビクトル・エルセ監督による1973年の作品です。スペインのバスク地方出身の監督ということで、スペイン内戦の影を色濃く反映した作品です。そして、主人公の少年アナの好演が光る作品です。
舞台はカスティーリャ地方のある村。そこに、移動映画でフランケンシュタインが上映される。イザベルとアナの姉弟は、フランケンシュタインを深く脳裏に焼き付ける。
2人の父親は、ミツバチの研究をしている。母親は、元恋人と思われる男からの手紙に返信している。
幼いアナはフランケンシュタインのことが気になっている。姉のイザベルは、そんなアナをからかうため、フランケンシュタインに襲われたふりをする。
池のほとりでアナが佇んでいると、フランケンシュタインが近づいてくる。映画の中ではフランケンシュタインは人を殺すが、実際のフランケンシュタインはアナを殺さず、やさしく近づいてくるのだった。アナはその後、廃墟で倒れているところを発見される。
アナはしばらくベッドで寝ている。やがて起きて、部屋の窓を開くが、フランケンシュタインは現れなかった。。。
淡々とストーリーが進行していき、映像も素晴らしい作品です。冒頭の移動映画で上映されたフランケンシュタインがこの作品の軸となっていくところは、巧みな設定となっています。
ただ、ストーリー展開に抑揚がないので、途中、中だるみしてしまうきらいが。そして、ラストもあっけなさすぎて、何か消化不良の感じが残ってしまうのも否めません。
おそらく、スペイン内戦と絡めた数々の隠喩が埋め込まれていると思われ、そうした隠喩が解ければもっと楽しめたと思うのですが、そうした隠喩が見通せないとちょっと分かりにくい作品のような気がします。