- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2007/08/25
- メディア: DVD
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スタンリー・キューブリック監督による1955年の作品です。原題は“Killer's Kiss”です。1時間ちょっとの比較的短い作品ですが、充実した見ごたえのある作品でした。
デイヴィはベテランのボクサーだったが、試合で若いボクサーに敗れる。
デイヴィの向かいのマンションにはダンサーのグロリアが住んでいたが、あるとき、グロリアがもめ事に巻き込まれるのをデイヴィは目撃してグロリアを救出する。それが縁で2人の仲は深まっていき、グロリアを連れて田舎へ帰ることを決意。
グロリアはギャングのボスのラパロと愛人関係にあった。未払いの賃金を求めてグロリアはラパロのもとに向かい、別れを告げる。ラパロは別れに納得せず、ちょうどそこに居合わせたデイヴィのマネジャーをデイヴィと勘違いして殺害する。
グロリアは監禁されていたが、デイヴィはラパロを銃で脅して監禁場所に連れて行かせる。デイヴィはラパロらに打ちのめされて気絶する。グロリアはラパロに命乞いをして、ラパロと口づけを交わす。しかし、デイヴィは隙を見て脱出。追ってくるラパロと最後は激しい決闘を交わすが、デイヴィは勝利する。
駅で列車を待つデイヴィのもとにグロリアが駆けつけ、2人は熱い口づけを交わすのだった。。。
Killer's Kiss - Official Trailer [1955] HD - YouTube
この作品は一見すると、主人公が敵対するギャングを倒して最後愛する女性と結ばれるという単なるハッピーエンドの物語に思えてしまいますが、そうだとすれば、原題の“Killer's Kiss”や邦題の「非情の罠」が何を意味するのか、考えてしまいます。
結局、この話は単なるハッピーエンドの話ととらえるべきではなく、グロリアの変節ぶりにこそ主題があると思います。デイヴィが助けに来てくれたものの、ラパロの仲間たちに打ちのめされた途端に、態度をコロッと変えて、ラパロと熱く交わしたグロリアの口づけこそが、この作品の主題だと捉えるべきではないかと思います。
そう考えると、ラストシーンで2人が駅で交わす口づけは全然ハッピーではなく、むしろ2人の前途多難を予感させてしまうとすら思えてしまいます。
キューブリック監督の才能の片鱗が既に表れている作品でした。