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映画、書評、ジャズなど

「バーバー」★★★★☆

 

バーバー ― 2枚組 DTSスペシャルエディション (初回生産限定版) [DVD]

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コーエン兄弟による2001年の作品です。原題は“The Man Who Wasn't There”です。劇場公開版は白黒映像だったようですが、今回はカラーで鑑賞しました。ベートーベンの演奏をバックに、淡々と進んでいきつつ想定外の方向に話が展開していき、所々にユーモアが表れていて、コーエン兄弟のセンスの良さが存分に出ていて、最後までぐいぐいと引き込まれる作品でした。

 

エド・クレインは義兄の経営する床屋で働く理容師。エドの妻ドリスはデパートで働いており、その上司デイヴはデパートのオーナーの娘と結婚していた。ドリスとデイヴは不倫関係にあるとエドは考えていた。

 

ある日、いかがわしい投資家が客としてやってきて、ドライ・クリーニングのビジネスについて話をする。そこでエドはあることを思いつく。デイヴに不倫の脅迫文を匿名で送り付けてお金を奪い、その金をドライ・クリーニングに投資するという計画だ。エドはまんまとデイヴからお金をせしめることに成功。

 

デイヴはエドが脅迫文を送ったことに気付いて、エドを夜のデパートに呼び出した。エドはとっさにデイヴを刺殺する。しかし、逮捕されたのはエドの妻ドリスだった。有能な弁護士が弁護に当たる。エドは自分が殺害したことを弁護士にほのめかすが、弁護士は取り合わず、結局ドリスは獄中で自殺する。エドが投資したドライ・クリーニングの男も忽然と姿を消してしまった。

 

エドは知り合いの弁護士の娘のピアノにほれ込み、勝手に著名な音楽家に売り込むが、全く評価されず、その帰り道の車の中で、その娘に言い寄られ事故を起こしてしまう。意識から覚めたエドはその場で殺人罪で逮捕。それは、ドライ・クリーニングの投資家を殺害したという濡れ衣の容疑だった。妻のドリスを使ってデイヴから金を奪い取り、犯罪の片棒を担がせて死に追いやったというシナリオが検察によって組み立てられた。

 

エドは敏腕弁護士を雇うが、やはり真相を話しても聞こうとしない。公判で弁護士が熱弁をふるったが、エドの義兄が法廷でエドを殴打したことで審理が中断。弁護士費用がついえたため、弁護士が交代となったが、その弁護士がやる気ない人物で、エドは電気いすに送られることとなったのだった。。。


The man who wasn't there - Trailer - HQ - YouTube

 寡黙な主人公を演じるビリー・ボブ・ソーントンの演技と、淡々と心境を語るナレーションが、この作品の厳かな雰囲気を作っているのですが、そんな厳かさとシニカルでシュールなシナリオとの間のギャップが、この作品の独特な空気感を生み出しているのではないかと思います。

 

ベートーヴェンピアノソナタ第8番「悲愴」より第二楽章の静かな旋律も、この作品の空気感に大きな影響を与えています。知り合いの弁護士の娘が演奏会で奏でるのもこの曲ですし、エンディングで流れるのもこの曲です。


Beethoven Pathetique Sonata no. 8 - 2nd Movement ...

 

コーエン兄弟の作品は過去に『ファーゴ』を見ましたが、やはり空気感は共通するものがあります。

loisir-space.hatenablog.com

 こういう映画は個人的には大好きです。